第21話 何故、物の怪でもないのに鋼の甲冑を身に纏う?(4)

 でも僕は直ぐに。


(あれ、でもこのひと、先ほど僕に水をくれって、日本語で言わなかったけぇ?)


 と、思えば。


「うううっ、み、水……。水を。水をください。お願いします……」


 僕の膝に頭を載せる姫武将の彼女も。


 僕と以心伝心はないが。


 悲痛な表情と掠れ声音で、僕に水をくださいと。


 彼女はまた日本語で嘆願をしてきた。


 だから僕は金髪な、異国の御姫さまなのか? と思う。


 と、言うか?


 外国の姫さまであろうとも。


 この近代的な世界と、僕も言いたいところではあるのだが。


 もしかすると?


 ヨーロッパの外れに未だ。


 中世の時代で歴史が止まっている。


 秘境の国があるのかな? とも、僕は思いつつ。


 僕の膝へと頭を載せる。


 よく見ると、大変にお顔が整った、綺麗なお姫さまの掌を。


 僕は優しく両手で握りながら。


「君! 君~! 貴女! 貴女~! 大丈夫! 大丈夫ですか~?」と。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る