第15話 真冬の怪奇?(3)
う~ん、でもさ? 僕の背後に迫る落ち武者の幽霊……。
まあ、お化けと呼ばれる物だけれど。
その者の呻き声はどうやら女性のよう?
だから姫武将の怨霊なのかも知れないね? と、僕がついつい余計な事を思うから、声の主──。
姫武将の怨霊は更に、僕へと近づいている模様で。
「うっ、うう、うぅ」、
ズルズル、
「あっ、ああ、ああ、ああ……。うう……」、
ガリガリ、
「た、助けて、助けて……」、
ガシャン、ガシャン、
「ううう、ううう、ううう……」
まあ、こんな感じでさ、僕の耳へと、とうとう姫武将の呻き声だけではなく。僕に助けて欲しいと嘆願の声迄ハッキリと聞こえるようになったから、と言うか?
完全に僕の真後ろまできていると悟ることができた。
だから僕は、女性のお化けに襲われる、呪い殺されるのだろう? と悟る事ができる。
だって僕自身は、本当はお漏らしをしそうなぐらい怖くて仕方がないから。
この場にある物……。
そう、未だ片づけを終えていない商品達をこの場に置き去りにしてでも逃げたい衝動に駆られている。
でも、皆さんも知っての通りで、幽霊が出る! 現れる時は怪音──。生木が割れるようなラップ音が鳴るとか。
自分自身の身体が硬直──動けなくなる症状である金縛り……。
そう、僕は只今金縛り状態に陥っている最中だから。
『うわぁ、あああっ! 助けてくれぇえええっ! 誰かぁ、あああっ!」と叫びながら僕は、逃走を図れる状態ではない。
だから僕は、自身の背に迫る姫武将の落ち武者に捕まり。生気を吸われ! 呪い殺され!
明日には、僕の背後に迫る姫武将が他界した場所で。僕は冷たくなって死んでいるのを朝の散歩をしている。
その辺りに住む人の誰かに発見をされ──夕刊にデカデカと記載される事間違いないと思う。
だから僕は本当に辛い。辛くて仕方がないのだよ。
でもね、僕がこんなにも悲しく、切ない思い。現世に未練タラタラの状態でも、お化けと呼ばれる者達は悪霊だから。他人を恨み、呪う事はあって、他人に対しての情と言うものは皆無にとしいから。
僕の背後に迫る姫武将──鎧武者はね。
「はぁ~、はぁ~」と、相変わらず辛そうな息遣いと呻り声を漏らしつつ迫ってくる。
ガサガサ、
ガシャン、ガシャン
ズルズルと怪音を鳴らしながら。
『うぅ、ううう~。うらめしや~。うらめしや~』とでも言いたい様子で迫ってきている。
だから僕は心の底から怖くて仕方がない。
◇◇◇
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