おかあ、ぎゅうう

昔、息子たちが

まだ幼かった頃

眠る時は親子でくっついて寝ていた


夫が亡くなってから

引越しをした後の

まだ慣れない部屋でも

長男は左に次男は右にそれぞれ腕枕

末っ子は、わたしの上で

「おかあ、ぎゅうう」と抱きついて


寝相悪いから、ダンゴムシみたいに

かたまったり、転がったり

手やら足やらあっちこっち向いて


夜、怖い夢を見た時や

なんでもない夕方のひと時

よく「おかあ、ぎゅううして」って

不安だったんだろうと思う

だってわたしだってそうだったから

ぎゅううした時の温もりに励まされ


いつまで、言ってたかなぁ

「おかあ、ぎゅううして」

今じゃ背丈も、みんなわたしを越して


もう、「おかあ、ぎゅうう」なんて

当たり前だけど言っちゃくれない

あの片手におさまるくらいの

小さな手や足のむくむくした感触

甘やかな母としての喜びの時間

人生の宝物をありがとう


わたしに親としての

幸せを与えてくれてありがとう


愛する息子たち

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