幻の爪

無意識に瘡蓋かさぶたを剥がそうとしていた

毛穴が開くような

ザワザワがおさまらなくて


精神こころ肉体からだ

上手く動いてくれない


言葉が喉につかえる

ギシギシと関節はきし


芯熱がこもって

いつの間にか

じわりと汗ばんでいる


ゾワゾワして堪らない

全身を掻きむしりたいような不穏な衝動


それができないほどの

深爪をしているのは幸か不幸か


不協和音


拒絶しているのは

世界か

わたしか


こんなふうに幻の爪を隠しながら

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