駆け足の春

この間、桜の蕾に

もう春なんだなぁ

なんて思っていたのに

いつしか花は満開になり

早くも桜吹雪が舞いだして


四月に入り

時のはやさから

取り残されてわたしは

肩に落ちてきた小さな花びらを

そっとポケットの中にかくま


駆け足の春は振り向きもしない

容赦ようしゃなく

アスファルトの上の花びらを

風が吹き上げて

空へ連れ去ってしまう

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る