三月になると

三月になると

それだけで

桜色の背中がすぐそこに

見えた気がするの


でも、わたしは

冬が遠ざかっていくのが寂しい

キリッと澄んで冷たい空気や

夜、包まれて眠る布団の温もり


不思議に

わたしの呼吸を楽にしてくれるのは

いつも冬という季節

厳しさのなかに内包されている懐の深さ


人間ひとは春を待つものだと

皆、いうけれど


冬に名残を惜しむ

こんなヒネクレモノが

一人くらいいても

いいんじゃないかって


そう思うのよ

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