【詩集】残月詩情

世の中ってもんが

世の中ってもんが

そんな優しくはないことくらいは

それなりの歳月生きてきて

わかっていたつもりですけどねぇ

それにしてもまぁ

ここんとこ特に

油断も隙もないっていうか

便利になる代わりに

最新のものの仕組みは

何もかもどんどん複雑になるばかりで

これ、完全に理解出来てる人って

どれくらいいるんでしょう

まるで複雑にすることで

目くらましをされているよう

今はまだ辛うじて

わかっているつもりのことも

この世の中の進み具合だと

あとどのくらいついていけるものやら

何だか、どんどんお年寄りに優しくない

世の中にもなっているようで

お若い方々、あなたも歳をとるんですよ

今は想像できないかもしれないけど

こればかりは平等に、身体だって衰える

不老不死なんてありゃしません

この頃ねぇ、歳をとってからのことを

考えるようになりました

お恥ずかしいことに

五十路も後半にさしかかってやっとです

それから最近の一つの綻（ほころ）びを見つけると

寄って集（たか）って広げていく残酷な風潮

世の中ってもんが

そんなに優しくないことくらいは

わかっていたつもりですけど

ですけどねぇ

何だか違ってきちゃいませんかと

オバチャンはちょっとばかり

怒ってみたりするわけです

気弱で臆病者のヘタレですけど

おかしいことはおかしいと誰もが言える

せめて、そんな世の中であって欲しい

世の中ってもんが、どれだけ厳しくても

弱いものを振り落としてばかりで

そこに人情がなくなってしまっちゃあ

生きる甲斐がないじゃあありませんか

ねぇ