冬の匂い

きもせずに

山の家の周りをゆっくりと歩く

自然はいつも違った顔を魅せてくれる

ずっと此処ここで育って暮らして

見慣れた景色のはずなのに


空気はこんなに澄んでいたのだな

空は何処どこまでも続いている

鳥たちのさえずりは天上の歌のようだ

森の中、落ち葉の絨毯じゅうたんのうえを

かさりかさりと歩いては立ち止まって


自然との付き合いは

時に厳しく鍛えられるけれど

気づかされることも、また多い

甘やかされはしないけれど

見守られているようで

その懐は、こんなにも深く広い



歩いては立ち止まり

深く息を吸いこむ

ああ、わたしの好きな冬の匂い


時間を忘れて、ただ歩く

手には、お気に入りの詩集だけ


この贅沢ぜいたく時間ひととき

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