第196話 戦妃アイカ! (2)

「死にたくない者は、そこを退きなさい! 退きなさい! 私の前を塞ぐなぁっ! 塞ぐ者は誰だろうと容赦はしないー!」


 元女王だったアイカは、声を大にして咆哮──!


 混乱を生じている敵兵に叫び続けながら、彼女の予定通り。


 自分の事が恐れ戦いてしまい。


 後ずさり、逃げる。


 逃走を計りだした、健太率いる怪鳥ミュウイ装甲騎兵隊達の後を追いかけるのだ。


 その先には、必ず彼女が愛する男性ひとである、二国の皇帝健太の可愛らしい姿がある筈だからと。


「私は元此の国の女王アイカー! 私の道を阻む者は誰だろうと容赦はしない! だから私の為に道を開けなさいー! さぁ、早くー! 早くー!」と。


 自分が愛する夫に逢いにいくための道を塞ぐなとでも言いたい! 叫びたいような声を大にして叫びながらアイカは、猪突猛進を続けていくのだが。


 そんな最中の彼女の耳へと。


「アイカー! アイカ何故君が、そこに。そこにいるのだ、よぉおおお⁉」と。


 彼女が聞き慣れた声──。


 それも、彼女が早く聞きたい。


 耳にしたい声が、彼女前方ではなく、後方で聞こえるから。


「(何故、あのひとが前方にいるのだろう。いるのだろうか。何故?)」と。


 アイカは心の中で思い。


 自分自身が予測できなかった事に対して驚愕! 動揺! 困惑しながら。


 自身の背、後方へと振り返り。


 絶望の現場、シーンを見る事になるのだ。



 ◇◇◇

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