第193話 ウォンの声と怪鳥の足音……

 〈ザッ、ザッザッザァ……〉


「早く逃げろぉおおおっ! 後もう少しだぁあああっ! ……もう少し逃げれば出口だぁあああっ! 皆ぁあああっ! 後ろを振り返らず。とにかく逃げろ。逃げればぁあああっ! 起死回生のチャンスをあるかも知れんー! 知れんからぁあああっ! とにかく逃げろぉおおおっ! 逃げるんだぁあああっ! 今直ぐにー!」と。


 この狭い畦道、獣道を慌てて逃走、逃亡を図るウォンの大きな声が鳴り響くのだ。


 このシダ植物、草、木々が、所狭しと、立ち並ぶ密林のジャングル内に響き渡るくらいの声と、怪鳥ミュウイが素早く駆け抜ける音と共に響き、木霊するのだ。


 でっ、それを聞いた健太は。


(ウォン、僕からアイカを奪ったお前達には奇跡はないから)と。


「フン!」と、鼻息荒くしながら思うのだ。


 健太はね。


 自分の先を怪鳥ミュウイに跨り、駆け抜ける。


 憎き男ウォンの背を睨みつけながら思うのだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る