第191話 アイカの思惑(1)
(上手くいけばいいのだけれど……)
自身の脳内で呟く、女王アイカでね。
藪の中で潜みながら、密林、樹海への入り口を不安そうに彼女は、自身の紅色の瞳で見詰めているのだ。
そう、只今の彼女の主である、逃走中のウォン。
自身の元主であり、二国の皇帝である健太からの逃走をしている最中の彼の帰り。
自身の前を安全に、ウォンが無傷で素通りしてくれることを、アイカは祈りつつ様子を窺っている、だけではないのだ。
アイカはね。
やはり二心があると言うか?
アイカは健太の事が忘れられないのだ。
何せ、彼女のお腹の中……。
アイカの初めての妊娠、子宝に恵まれた相手は、ウォンでは無く、先ず間違え無しにアイカが確信……。
女の勘と言う奴なのだが、彼女のお腹にいる子は、二国の皇帝健太の世継ぎで間違いないのだよ。
だから此の国の神殿に、浮気の罰として幽閉されている期間も、彼女はひたすら夫が帰る。訪れてくれるのを、毎日首を長くして待ち続け。
来れば! 訪れてくれれば!
心から、自身の主健太へと優艶に尽くし、奉公、甘え続けたのだ。
でっ、その都度、早くジャポネの神殿へと迎え入れて欲しいと嘆願を何度もし、乞うぐらい。
アイカは健太にメロメロ……。
本当に良く性奴隷として調教をされているのだ。
だからウォンが。
この世界の健太が、アイカの事を好きだと申しても。
心の芯からウォンの事をアイカは好く、愛おしく思う事はない。
ましてや、只今アイカのお腹の中には、二国の皇帝の世継ぎがいるのだから。
尚更アイカは、ウォンの事を心から愛する事はない。
やはりアイカも、他の妃達と一緒で、騎士よりも、白馬の王子さまの方が良いのだ。
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