第180話 ウォンと健太(1)

「うりゃ、あああっ!」


〈ガン!〉


〈ガン! ガン!〉


「でりゃぁあああっ!」


〈ガン!〉


「うりゃ、あああっ!」


〈ガン!〉


「ふん!」、


「ほう、中々やるじゃないか。クソガキ……。後方で妃達の尻の後ろに隠れ。敵から怯えながら待機。指示を出すぐらいしか脳のないガキだと思っていたが。ちゃんと槍や戟、剣を振るえるとは思いもしなかったぞ。これなら少しは楽しめそうだ」と。


 ウォンは自身を追いかけ、追撃──。


 そのまま、怪鳥ミュウイで突撃を決行してきた。


 二国の皇帝健太が率いる怪鳥ミュウイ突撃隊を、自身が率いる敗残兵と共に対峙。激突──!


 と、同時に。両軍の間から刹那──。


 沢山の断末魔と絶叫がこの地。この荒野。シダ植物のジャングル無い。開けた草原一体に響き渡る中で、二国の皇帝健太は、自身の憎い敵──。彼の大事な妻を寝取り持ち逃げしたウォンを見る。発見するなり。彼は珍しく、このようにウォンへと、自身が握る槍を振るい落として、突き! 突き! の連続技を、彼は荒々しく咆哮! 叫び! 我を忘れたように果敢に攻めてくるのだ。


 でっ、その攻撃が、ウォンの予想をはるかに上回るスピードで、連続突き、攻撃を、怪鳥ミュウイを騎乗したままで、上からの見下ろす有利な戦いを仕掛けてくるものだから。


 ウォン自身も健太に対しては、余裕のある振る舞いを見せてはいるのだが。

 実際のところは、健太の槍の速さ。槍裁きに苦戦を余儀なくされ。彼はじりじり後退をしている状態なのだ。


 だって彼が戟を振るい。健太を薙ぎ倒そうと試みても、彼の愛鳥である。怪鳥ミュウイが瞬時に下がり。ウォン握る戟との距離を取る運動、回避運動をしてくるので。健太にかすり傷さえ負わす事もできない状態にウォンは陥っているからだ。


 彼は只健太に対して、余裕があるように装いをしているだけなのだ。


 オーク種族最強の漢だと、自分自身でも、自負している彼だから。たかが、人種の小さくて、軟弱そうに見える少年から。自分自身が後れをとっているなど。ウォン自身は納得ができない。彼のプライドも許さない。

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