第175話 アイカとウォン (7)

 女王アイカは、自身の連れて逃げようとしてくれる男の口から。彼女が一番聞きたくない台詞を聞かされてしまうのだ。


 そう。自身の夫である筈の健太が。自分の妻の一族が代々守り築いてきた此の国の町を怒りに任せ、焼き始めた。焦土化を始めだしたと彼女の許彼、婚約者と言いたいところではあるのだが。先程迄の、二人の熱く、激しく、獣のような、荒々しい優艶な交わりを見れば。二人は寄りを戻し。元鞘に収まった夫婦だと言った方がよい関係だと思われる。


 そう、思われる程、女王アイカはウォンに対して、安易に自身の優艶な肢体。裸体を曝け出し。差し出した筈なのに。


「ウォンー! 貴方がぁっ! 貴方がぁあああっ! 謀反! 私の王に逆らい。謀反を起こし。この町へと逃げてくるからこんな事になるのよー!」と。


 女王アイカはウォン……。傍から、遠目から、二人の仲のよい。よかった様子を凝視すれば、二人は夫婦。寄りが戻り。元鎖にも先程収まった様子を見せたから夫婦。夫婦(めおと)だと、ばかり思っていたのに。


 女王アイカは二国の皇帝健太のことを自分自身の主。夫だと告げるのだ。ウォンに対してね。


 と、なれば?


 今の今迄、女王アイカがウォンに対して、自身の裸体を曝け出し。己の肢体、腰を優艶に荒々しく。激しく。艶やかに動かし。淡く、甘く、啼き。啼き叫び嬌声を漏らしていた行為は、浮気? 不倫? まあ、最初は女王アイカも力無く。弱々しくもウォンに対して抵抗を試みていたから。元夫に凌辱行為を受け。NTRをされたと言った。説明をした方がいいのかも知れない。女王アイカなのだが。


 彼女は更に浮気相手であるウォンに対して不満を漏らすのだ。こんな感じでね。


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