第137話 主、王の前にて……(2)

『フン!』と、鼻息荒く、また悪態をつくのだ。己の主、夫。二国の美少年王健太と、二国の太后殿下、女王陛下と言っても過言ではないシルフィー。二人が馬上、騎乗をしている前で後ろ手首を縛られたままの状態……。


 そう、罪を犯した犯罪者。戦に負けた他国の要人、捕虜の如く振る舞いで、馬上前へと座らされ、周り……。自分自身と変わらぬ身の上、身分……と、いっても? 女王アイカは此の国の女王陛下なのだから。妃としての身分、身の上は、己の主、健太の永遠の妃である。戦勝、時の女神であるシルフィーの次に位置するナンバーⅡの身分だから。この扱い。自身の妹、従妹に叔母と。その他の女、妃達の目の前で晒し者にされている今の自分自身への所業や立場、状況に対して、元女王アイカは不満で仕方がないのだよ。


 だってこんなこと……。自分自身がNTR……。寝取られる可能性がある、だけではない。ないのだよ。女王アイカの不満はね。もしも仮に? 自分自身が相手の男、ウォンの強引な逢引き、優艶な行為。それも荒々しい行為に対して拒否を続けても。あのような暗闇……。本体から離された位置である後方支援の人気のない暗闇だと、遅かれ早かれ強引に……。

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