第136話 主、王の前にて……(1)

「フン! 嘲笑いたければ、笑うがいい。あなた……」と、悪言を吐き。睨みつける。此の国……。


 いや、元此の国の女王アイカと呼んだ方がいい。いいのかも知れない彼女、アイカなのだが。彼女の不満はこれで収まりそうもない。ないのだ。


 だって彼女は、元女王アイカは、自身の近衛隊の隊長である。此の国の一領主あり。自身の元カレ、婚約者、主、夫だったかもしれない男と、二人仲良く、慎ましく逢引きをしているところを、自身の今の主、夫、王である健太に通報、報告をされて、自身の実の妹であるエリエを送り、差し向わされて。エリエに自身とウォンとが、獣の如く振る舞いで、荒々しく声を……。



 そう、元女王アイカは自身の夫以外の男の為に、優艶な嬌声を漏らし鳴きに、鳴いたのだ。それを! 現場を! 実の妹に、不倫の最中。最中をね。間者の女性の嘘偽りなく本当に話し、実話なのだと確認をされる失態を犯したのが、前回迄の話と回想シーンであり。元女王アイカからしてみたら。二度と思い出したくはない悪夢の回想シーンなのだが。


 この邪で優艶な出来事、逢引き、NTRが起きた原因は、全部自身の主、夫、王である健太が仕組んだ物。物だと彼女、元女王アイカ自身もわかっている。悟っているから。更に彼女は、自身の主、健太へと悪態をつくのだ。


「どう、健太~? あなたの~。あなた達夫婦の~。思惑通りに、策が成し得た。成就できたから~。嬉しくて仕方がないでしょう~? 自分自身が歓喜! 万歳! 万歳! 万歳! 三唱と歓喜! 大喜びするぐらい~!」と。

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