第133話 束縛(3)

「ちょっと、ウォン! 私の事を離してぇえええっ! 離してよ! お願いだからぁあああっ! 私! 私のこの肢体(からだ)は、此の国の男王である健太! 健太の物だから! 離してぇえええっ! 触るなぁあああっ! 触るな、この無礼者がぁあああっ!」と。


 女王アイカは、麗しく、艶やか、官能的な表情から急変──。憤怒! 憤慨! 怪訝な表情へと移りかわって、荒々しい声色で、自分の肢体を貪っていたオス! ウォンに対して拒否をし始めるのだ。己の優艶な肢体を曝け出したままで。自身の手足も使用して拒否をしてみせるのだ。


 でも? 一度燃え上がったオスとしての性と性欲、欲望心と恋心の炎はいとも簡単に消える。消火! 鎮火! して収まるようなことはない。ないからね。


「えぇ、えい! 煩い! アイカ! 黙れ! 静かにしろ! そして暴れるな!」と。「ハァ、ハァ、ハァ」息荒くしながら。己の目の前にいる裸体──産まれたままの姿でいる女王アイカを強引に戦車の床、下へと押しつけて、諂い。遜るように、暴れ牝馬を傀儡しようと、ウォンも試みるのだが。


 二国の少年健太──。女王アイカ自身の本当の主に禁断の恋をしている。している最中だとばれた! 悟られた! と、悟っている女王アイカ自身は、もうすでに、その気も。ムードも。禁断の恋に酔いしれることに冷めてしまっているから。


 ウォンが強引、荒々しく所業をおこなっても抑えつけ、従うことはない、どころか? 


 逆に「離せぇえええっ! 離せと! 何度言えば分る? 分るのだ!」と、荒々しい口調、声音で、怒声を吐かれて。


〈ド~ン!〉なのだよ。


 ウォンの奴ね。

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