第132話 束縛(2)
「(……ん? 何? この馬鉄、樋爪の音……。そして騒めきは……)」と、女王アイカは思う。
そう。己の夫以外の漢。オスへと自身の持つ、所持する優艶な肢体を曝け出し、預けている最中の、女王アイカは、己の大きな笹耳を機敏良く『ピクピク』と動かしながら自分達二人……。お互いが強く抱き締め合い。「はぁ、ああ、あん、ああ……」と、二人仲良く。愛を確かめ合いながら溺れ漏らしていた嬌声と、己の肢体を官能的に動かす行為を咄嗟にやめたのだ。
自分達二人の周り。空気、雰囲気、状況が急変したことに彼女は……。
そう、自身の今の本当の主である健太のことを、自分自身が裏切っている最中だと彼女には自覚があるから。いくらこの場の勢い。元彼、婚約者、主だった。夫だったかも知れない漢の強引さと力強さ、勢いに負けてしまい。自身のルージュ。それも? 少年王から愛を込めてプレゼントされた異国の地! 異世界でしか手に入れることができない。ブランド品のルージュで濡れている唇を艶やかに開け。ウォンと仲良く、獣のような荒々しい吐息と嬌声をもらしていた。いたとしても。女王アイカは己の持つ大きな笹耳をアンテナ、レーダーの如く『ピクピク』と、動かしながら。もしもの為──。
そう、先程から何度も、元自分自身の主に、今の主にばれる。ばれたら不味いからと。
「ウォン、た、頼むからやめて……。やめてよ。お願いだから……。あのひと……。健太に……、今の私達二人の様子……。優艶な様子がばれる。悟られること。ような、ことになれば。私達二人……。いや、私は大丈夫かも知れない。しれないけれど。貴方……。ウォン、貴方の命は絶対に危うくなるから。もうやめてお願いよ。ウォン……。私は貴方の首……。町の真ん中、広場で、風に晒された状態の貴方の顔、頭を見たくは無いの……。お願いだから……」と。
此の国の女王アイカは何度も、己の元主だった者へと、諫めと嘆願をしたのだが。一度火がつき、燃え上がった欲望と恋心……。
そして自分が想うメスを、己の物とする征服心は、漢自身が風前の灯火、躯になろうとも収まることはない。
だから女王アイカに拒否をされればされるほど、ウォン自身は発情! 発情をするから更に燃え上がる。燃え上がり続けるのはいいのだが。
彼女、女王アイカが危惧、悟っていたように、自身の妻である女王アイカのことを信用していない。少年王健太が放っていた間者。間者の女性(もの)からの密告で、少年王は憤怒! 憤怒していると悟った女王アイカは、己の様子を急変させるのだ。
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