第107話 アイカと年下な男の子(23)

 だから彼女は、己の主、白馬の王子さまへと忠義を超える愛情で尽くし、奉公できるのだ。


 そう、黒装束を身に纏う間者の女性は、本来ならば卑しき身分、身の上であるはずの、自分自身のことを直ぐに、一人の女性、母のように見てくれて。甘え、慕ってくれる白馬の王子さまに対して彼女は常に愛! 愛なのだ。


 そう、己の女性としての性や欲望、母性本能を直ぐにくすぐられ、昇天! 歓喜! 愛! 愛が! 愛おしさが止まらなくなるのだよ。


 このひとの為なら死ねると思えるのだ。


 そう、自身の身を焼かれようが平気! 平気なのだ!


 白馬の王子ささまに対して、心から愛! 愛がある! あるから……。



 自分自身を慕うように甘え、謝罪をしてくれる白馬の王子さまの為に平然と死ねる! 死んでも悔いは残らない! と、再度己の心に誓いを立てるぐらい嬉しくて仕方がない。


 だから己の白馬の王子のことを侮り。愚弄。蔑むような輩──。裏切り者達には天罰! 天誅! 報いを受けるべき! するべき! 当たり前に与え! 闇へと葬る! 消す! と、なれば?



 抹殺するべきだと彼女、黒装束を身に纏う間者は、王子さまの軍師の一人と呼んでも過言ではない人物だから。こんなことを脳裏で思い。思案、策も練るから。彼女はこんなことを口にするのだ。


「私が王、あなたの為に、あの嫌らしく。破廉恥極まりない輩達……。あの、如何わしい二人を、誰にもわからぬ。悟られぬように闇へと葬りましょうか?」、


「あなた~。あなた~」と問う。問うのだ。

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