三日かけて作成した美少女キャラで遊ぼうとしたら、「ネカマは死ね」とゲームから追放されました。現実で世話します。ボクを追放したプレイヤーはアカウント永久停止になりました。
第2話 美少女がゲームから飛び出してきて、どうしよう!?
第2話 美少女がゲームから飛び出してきて、どうしよう!?
その子は、セーナさんと名乗った。
たしかに、ボクの作ったキャラの名も「セーナ」である。
「こんなのしかないけれど、どうぞ」
セーナさんの気を落ち着かせるため、ボクはコーヒーとおせんべいを差し出す。
食べられるかどうか、わからないけれど。
「ありがとうございます。いただきます」
言いながら、セーナさんはおせんべいをかじる。
よかった。食べられるみたいだ。
「ゲームから出てきたって?」
「実は、ゲームキャラとして振る舞おうとしたら、運営に呼ばれまして」
それによると、
「中身が男性の女性型キャラは違反ということになって、削除することになりました」
と言われたそうである。
「それで、ゲーム自体から追い出されました」
怒りを噛みしめるかのように、セーナさんはせんべいをバリバリと頬張った。
「理不尽だなぁ。ちょっと問い詰めようか」
せっかく楽しく遊ぼうとしていたのに、あんまりだ。
しかし、機材はウンともスンとも言わない。
「PCから問い合わせよう」
しかし、アカウント停止されたボクに、ゲームへアクセルすることはできなくなっていた。メールすら返せない。
しかし、相手側からメールが来ていた。
こちらの不手際なので、お詫びとしてゲームの代金を返却したとのこと。
ネット通帳を見てみると、たしかにお金が返ってきていた。
VRゲーム用に買った機材の代金まで、立て替えてくれている。
よほどボクたちには、このゲームからいなくなってもらいたいみたいだな。
「何か、わかりましたか?」
「元の世界には、帰れないっぽいね」
「そうですか」
「向こうには、ご両親とかいるの?」
セーナさんは、首を振る。
そりゃあ、そうだよね。ボクがキミを作ったんだもの。
「どうしましょう? わたし、行くところありません」
「だよね。なんとかしないと」
といっても、どうするんだ?
ボクは、セーナさんには出ていってもらったほうがいいと考えた。
しかしそれは、「ボクが冴えない男子大学生」だから。
女性を一人養う術がない。生きていくだけでも手一杯だった。
面倒を見られないからって、放り出すのか?
彼女は、何も持っていない。
何も知らない世界へ追い出しても、のたれ死ぬだけだ。
保護すべきだろう。
とはいえ、ペットを飼うのとはわけが違うんだ。
まして、相手は女性である。
くそ、こんなときに友人がいてくれたら。
浮気症のナンパヤローだが、女性関係だと頼りになる。
ボクも無理やりコンパにつきあわされたりで、女性とある程度話せるようになったし。
と思っていると、チャイムが鳴った。
『ノゾムいるか? コンパ行こうぜ!』
「ユキヤ!」
困ったときの友人だ。
が、この子を見せちゃっていいんだろうか?
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