第6話 名前

 初カレ様は、それこそ学生時代にあやえるは事を「あや」と、呼んでくれていました。


 復縁してからは名前を呼んでくれません。


「初カレ様。あやえる、初カレ様に名前呼んでほしいです!」

「……Sさん。」

「なんで名字呼び?」

「なんとなく。」

「ふぐぬぬぬ……じゃあ、名前呼んでくれるまで一生帰りません!」

「本当に?じゃあ一生呼ばない。」

「それは困ります!とゆーか、あやえるは初カレ様の車でしか移動手段がないから本当に帰れないじゃないですか!」

「そうだね。」

「意地悪しないで名前呼んでくださいー!」

「……あやかさん。」


 みたいな感じで、本当に名前呼んでくれないんですぅ。

 

 初カレ様曰く、小っ恥ずかしいのと名前を呼ばなくてもいい距離にあやえるがいつもいるからだそうなのですが……でも呼ぶ呼ばないじゃなくて、大好きな人に名前を呼んでもらえるって事がときめきしあわせの極みでキュンだと、あやえるは思うのです!


 しかし、この間のユニバ。歩くのはよちよちで遅いし、人も多かったので、初カレ様も流石に「あやえる!」と、名前を呼んでくれました。


 え?まさかの“あやえる”呼び?!


 動揺しつつも、でもお名前呼んでもらえたのが本当にキュンとしてしあわせでした。


 最初は手を握ってくれていたのですが、

「手、冷たっ!」

と、初カレ様は、初カレ様のお洋服のポッケの中で手を握ってくれてました。


 凄い寒かったのに、初カレ様は御自分のマフラーをあやえるに巻いてくれて、

「初カレ様寒くなっちゃいます。」

「君が少しでも寒くなければそれでいい。」


 どこかに座っても

「反対の手。」

と、ずーっとポッケの中で手を握って暖めて下さりました。


 顔近いよぅ……。


 ちなみに初カレ様は、俳優の藤原竜也様をキリッとさせた感じの細身です。

 サウナとゲームが大好きなので、腹筋にも筋が入っています。

 母からも友人達からも

「本当にイケメンでスタイルもいいし、性格もいいし、ひとり暮らしで自立していて、自前の車もそこそこの高級車をキャッシュで買ってるし……素敵の極みで女子の憧れじゃない!」

と、よく言われます。 

 あやえるもそう思いますし、あやえるは土下座ならぬ土下寝しても足りないくらいハイスペック過ぎる素敵の極みの王子様だと切実に思っております。


 なぜ本当にかつてのあやえるは浮気症のビッチだったのでしょうか?!


 もう初カレ様しか勝たん!


 一生、初カレ様について行きます!


 ピクミンの様に!

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