言ってしまった 1
「お疲れさまでした~~」
時刻は17時。
今日はノー残業デーだから、なんとか定時きっかりに仕事を終らせ退社した。
会社を出ると、ひんやりとした空気が頬を撫でる。今日は一日中気分がスッキリしなかったから心地いい。
まあ、二日酔いになる位飲むなって話なんだけど……。
でも少し歩くとやっぱり寒くて、マフラーに顔を埋めた。
「はぁ……milk teaにでも行こうかな……」
もう、日課みたいになっちゃってる。
会社からは歩いて5分位。徒歩圏内だから、ついつい行っちゃうんだよね。
分岐点の交差点で立ち止まって少し考えたけど、結局三毛さんに会いたい気持ちが抑えられなくてmilk teaへ向かって歩き出す。
季節は12月。街はもうクリスマス一色。
ちょっと歩いて大通りに出ると、歩道の街路樹にブルーのライトや金色のライトがピカピカ光りながら巻き付いている。お店の前には大小さまざまな大きさのツリーが飾られていて、一番好きな季節に私のテンションは上がりっぱなしだ。
「早いよなぁ……」
三毛さんに出会ったのは、雨が冷たい梅雨。
「あれが半年前だもんね」
つい昨日の事の様に思い出される。
「そう言えば、milk teaではクリスマスって何かするのかな?」
去年まではmilk teaの存在を知らなかったし、行事って何かやっているんだろうか。ツリーはこないだ行った時に三毛さんが飾り付けをしていたけど。
(あの時の三毛さん、面白かった)
オーナメントにアールがじゃれついて四苦八苦していたのを思い出し、クスっと笑った。
「こないだのハロウィンはやったから、多分クリスマスもやるよね。……あの時のパイ、美味しかったなぁ」
ハロウィン限定で売り出したパンプキンパイを思い出し、グフッと笑った。カボチャのフィリングにシナモンミルクティーが相性抜群で、思い出しただけでニヤニヤが止まらない。
すれ違う人と不意に目が合い、不審な目で見られたから瞬時に表情を元に戻したけど。
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