家の倉庫が転移装置になったので、女神と四大精霊に農業を仕込んで異世界に大農場を作ろうと思う ~史上最強の農家はメンタルも最強。魔王なんか知らん~
第301話 創造の女神・ミアリス様、夜なべします!! ~春日黒助の専用武器を創り出してみる~
第301話 創造の女神・ミアリス様、夜なべします!! ~春日黒助の専用武器を創り出してみる~
いつも通りのコルティオール。
ミアリス様は突然立ち上がり言った。
「今夜武器を作ろう」と。
「あのさ。イルノ。黒助の専用武器って欲しくない?」
「まーたミアリス様が紐パン買うとか言い出すのかと思ったですぅー。ちなみにミアリス様が昔買ったのは紐パンじゃないですぅー。ただの紐ですぅー。あんなもんパンツとイルノは認めないですぅー」
「な、なによぉ! 若さゆえの過ちってあるでしょ!?」
「ほんの数か月前のことですぅー。その理屈でいくと、今この瞬間にまた過ちを犯す可能性が出て来ちゃうですぅー。冗談じゃないですぅー」
とはいえ、春日黒助に専用装備を。
これは意外と建設的な意見だった。
黒助は最強の肉体を付与されており、基本的にそのフィジカルを活かして戦うため武器の必要性について議論をされた事すらない。
が、最強の肉体に耐え得る武器が存在すれば、攻撃力の向上はもちろん、攻撃方法のバリエーションも一気に増加する。
最終決戦を控えて後方支援に専念するミアリス様は、しっかりと戦いの勝率を上げる方法について日々思案していたのである。
現在は午後9時半過ぎ。
この時間は黒助が帰宅しているうえに、コルティオールの幹部たちは大半が起きていると言う暗躍にはもってこいなゴールデンタイム。
早速ミアリス様は招集をかけた。
◆◇◆◇◆◇◆◇
結構な数が集まり、集まり過ぎたため母屋に入れず、そもそも全員が意見を出すだけで数話かかると言う懸念も生まれたため、大半のメンバーに「やっぱりあんたたちは帰っていいわよ。良い意見があったらラインして!」と無慈悲な勧告を行った当代の女神様。
「くっくっく。なにゆえ余も呼ばれたのだろうか。おまけに飛竜はうるさいから自力で飛んで来いとか言われた。酷すぎワロタ」
「だって、武器って言ったら大魔王でしょ? 基本的に魔族ってなんか武器持ってるし。そういうのってやっぱり大魔王が管轄するんじゃないの?」
「くっくっく。余はノータッチである。かつてはガイルが武器の研究をしておったが、今では声優さんの研究に忙しい。あやつ、そろそろ水着になりそうな声優さんを予想しては余に伝えて来るのだ。その的中率は8割を超える。ぶっちゃけ助かるから困る。くっくっく」
「しょうもないことしてるわね、相変わらず」
「くっくっく。ミアリス。声優さんはしょうもなくない」
「そりゃそうよ。しょうもないのはあんたたちでしょ」
「くっくっく。だったら良いの。自覚あるから」
「で? なんかアイデアは?」
ベザルオール様は折りたたんでおいたご自分の武器を取り出した。
取り換えシートを装着して、母屋のフローリングを拭き掃除。
「くっくっく。愛用していた杖を黒助に叩き折られてから、ずっとクイックルワイパー使っとる余に、よもや武器のアドバイスを求めるのか。女神よ」
「うん。なんかごめん。もうあんた、ウリネとマリオカートしてていいわよ」
ベザルオール様はニコニコ笑顔でウリネたんを誘いに行きました。
ちなみに、今日のウリネたんは早寝だったため、数分でしょんぼりして戻って来られました。
「うす。ミアリスさん。私、意見いいっすか」
「もちろんよ! どんどん言って!!」
現在は育乳に忙しいリュックたん。
だが、黒助の話となれば馳せ参じる。
おっぱいマッサージの時間なので、揉みながらの発言はお許しいただきたい。
「やっぱ科学兵器はどうっすかね? バーラトリンデの技術を流用したら結構ガチ目のヤツ作れますし。あ、あと、なんつーか。私とお、お揃いに……!!」
「リュック。ダメだよ、自分の性欲を押し付けては。今は大事な会議中だよ」
「う、うっせぇ、ハゲ!! 押し付けるもんなんて何もねぇし!! あとお前! 性欲って言うなよぉ! 欲求は認めるけど、べ、別におまっ! 性的興奮とか、ふ、ふへへ、してねぇだろうがぁ!!」
「まあ、それは置いておくとしてですよ」
「置くんじゃねぇ! 持ち上げてろ!! このくそゴンツ!!」
「黒助様に科学兵器はミスマッチに思えます。理由はいくつかありますが、まず機動力が低下します。レーザー砲の類でも黒助様の動きより速度が遅いので。何より、威力も黒助様のパンチの方が強いです。遠距離攻撃で敵の虚をつく事はできるかもしれませんが、それも1度きりでは、装備するリスクの方が大きいと思います。リュック? どうして私の体をずっと蹴っているんだい? スカート捲れてるよ?」
リュックたんのペア武装の夢が破れる。
同僚のダイヤモンド野郎に粉砕されたのがお気に召さないご様子。
「剣とか槍はどうだい? 英雄と言えば真っ先にこの2つが浮かぶね、あたいは」
「くっくっく。待つが良い、ヴィネ。黒助は剣も槍も心得がない。残り1か月を切っておる状況でこれからにわか仕込みをして、戦力が上がるであろうか。むしろ、あの子案外不器用だから刃物持たせるのがおっかないの」
「あ。はい。出過ぎたこと言ってすみませんでした……。ベザルオール様……」
「くっくっく。ちょ、待てよ。ヴィネ。そなた、なにゆえ余がパワハラしたみたいな空気を作るのか。普通に意見出しただけやん? ヤメてよ、ただでさえヴィネは余の元部下と言うデリケートな立ち位置なんやから。元部下の女子にハラスメントとか、今のご姿勢一発で消えちゃうやん。ごめんて。剣と槍、どっちも作ろ? エクスカリバーとグングニールって名前付けよ?」
まったく話が纏まらないのに、もう1時間が経過していた。
◆◇◆◇◆◇◆◇
「皆様! お夜食にスッポンポンのロールケーキを作りましたゆえ! お食べくだされ!!」
食の精霊ゴンゴルゲルゲさん、登場。
夜食にロールケーキとか、もうデブるの確定なのに見たら食べたくなるヤツ。
なんと狡猾なやり口だろうか。
「はむっ。美味しいじゃない! でもゴンゴルゲルゲさ、ついにお菓子まで作るの? ヤメなさいよ。ギリーのアイデンティティなくなるでしょ」
「も、申し訳ございません!! 良かれと思い……!!」
「や。マジでうめーっす。私、おっぱいに栄養ぶち込むのに必死なんで、正直高カロリーのスイーツとかガチで嬉しいっす。おかわりいいっすか?」
「おお! リュック殿!! どんどん食べてくだされ!!」
そろそろ深夜のお茶会の様相を呈してきた。
が、食の精霊が良い事を言う。
「黒助様でしたら、やはり農機具に由来するものが良いのでは? 鎌にクワ、スコップなどとてもよくお似合いですぞ」
「確かに……! 似合いすぎるわね!! けど、黒助の性格だとさ。俺は神聖な仕事道具を血で染めるのは耐えられん。とか言いそうじゃない?」
「言いそうですぅー」
「黒助さんのセリフの完コピ、クオリティたけぇ……!! さすがミアリスさん!! 私、言って欲しいセリフあるんすけど!!」
ベザルオール様が先ほどからモジモジしておられます。
「どうしたのよ、ベザルオール。トイレならそっちよ。ヤメてよね? 粗相するの。年寄りのそれって怒るに怒れないから、変な空気になるし」
「くっくっく。失礼過ぎる件。ぷんぷんがおーだぞ。余は閃いたのだ」
ベザルオール様は一呼吸おいて、天啓を口に出される。
「くっくっく。軍手は?」
「それだわ!! さすがじいさん! 伊達に年取ってないわね!!」
こうして、朝になるまでミアリス様の創造は続き、何故かベザルオール様がアドバイザーとして付き合わされることになった。
◆◇◆◇◆◇◆◇
翌朝。
「ほう。新しい軍手か。これは助かる。そろそろ稲を刈る時期だからな。やはり軍手がなくては」
「え。いや、黒助? それね、あんたの専用で、色々な」
「オーダーメイドか。すまんな、ミアリス。お前の気遣いはいつも心に染みる」
「そ、そう!? うん! きっとフィットすると思うわ!! 似合ってるし!!」
その後、ベザルオール様がひっそりと「くっくっく。それね、卿の武器やで? 大気中の魔素取り込んで、パンチの出力上げるヤツ。けど、普段使いもできるから、色んなシーンで活用したら良いって、ベザルオールはベザルオールはアドバイスしてみたり」と黒助に告げたので、彼も了承した。
こうして英雄に武器がもたらされた。
今日もコルティオールは平和であった。
そろそろ地獄の足音が近づいてきたが、まだ慌てるような時間じゃない。
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