家の倉庫が転移装置になったので、女神と四大精霊に農業を仕込んで異世界に大農場を作ろうと思う ~史上最強の農家はメンタルも最強。魔王なんか知らん~
第187話 混沌の文化祭! 情報量が多い割に中身はスカスカ!!
第187話 混沌の文化祭! 情報量が多い割に中身はスカスカ!!
春日未美香を野郎どもの性的な視線から守るため。
春日黒助は修羅に入る。
「ほえ? そういえば、どうして空間魔法使ってるの? 岡本さんかなぁ?」
「なっはっは! 私ではありませんよ!」
「くっくっく。余である。これはアレである。岡本さんに習った空間魔法を少しばかり試してみたくなってしまい、アレがそう……ナニして……うむ。勢いあまって使ってしまったのだ。くっくっく」
ベザルオール様、普段は弁明などしないため、クソみたいなクオリティの言い訳を披露する。
だが、相手は天使。
全てを無垢な心で受け入れてくれる、コルティオール二大妹の1人。
「そっかぁ! 分かるなぁ! あたしもね、新しいラケット買った時とか、うー! 我慢できないー!! ってなって、つい朝練しちゃったりするもん!!」
「くっくっく。未美香たんを騙しているようで余、心が痛い。もうリタイアしたい。これはしんどい。まぢしんどい」
「じいさん。俺だって辛いんだ。独りで楽になろうとするな」
「くっくっく。卿が発案者で余は巻き込まれたにも関わらず、それはあんまりな言い様」
「じいさん。うちは父方、母方ともに親戚関係がクズばかりなので絶縁している。そんな中、あんたの事を鉄人も柚葉も、そして未美香も本当の祖父のように慕っている。……俺もな。ゆえに頼む。未美香を守る力を貸してくれ」
ベザルオール様の瞳と心に炎が宿る。
よもや、2000年以上の時を生きてきて、自分に孫ができようとは露も思わず。
が、それをひとたび認識してしまえば、もはや是非もなし。
「くっくっく。余にもまだ、守るべきものがあったか。良かろう。余の全身全霊をもって、卿と卿の家族を……いや。余の家族を守ろうではないか」
「じいさん……。すまん。恩に着る」
なんだか感動的なセリフの応酬だが、話の主題は「未美香のメイド服を野郎に見せるくらいなら学校中の男どもを皆殺しにする」と言う、実にアレなシスコン兄貴の暴走の最中である。
「もぉ! お兄もベザルオールさんも過保護なんだから! でも、そうやって心配してくれるの、嬉しいよっ! あたし、お料理班に入れてもらうね! あ、そだそだ! その代わり、3人ともちゃんとご飯食べていってねっ! 約束だよ?」
黒助が「もちろんだ」と応じ、ベザルオール様は膝をガクガクと震わせながら「くっくっく。未美香たんの妹力は既に余の魔力を凌駕した」と息を荒くする。
唯一平然としているのは岡本さん。
「楽しみですねぇ! 時岡高校の飲食店の出し物には、うちの農協の直売所から野菜を提供していますから! どのようにお料理されるのか、お手並み拝見と参りましょう!!」
「ふっふー! 期待しててくださいねっ!!」
その後、少しばかり雑談したのちベザルオールが空間魔法を解除した。
つまり、時が動き出す。
◆◇◆◇◆◇◆◇
その頃、校舎の外にいる鉄人と柚葉は。
「おっとー! 早速ローアングラー発見!! 柚葉ちゃん! 意見を聞きたいんだけどさ! 未美香ちゃんじゃない女の子が今まさに、足元から舐め回すようなアングルで写真撮られそうになってるの! 助けてもいいかな?」
柚葉は「ふんっ」と鉄人に腹パンを食らわせてから一言。
「当たり前です! そんな紳士的じゃない男性には人権なんてありませんから! 鉄人さんのしょうもない魔法でどうにかしてください! 早く!!」
「くぅー! 大学生になってから柚葉ちゃん、ちょっとキツくなったよねー!! ご褒美が過ぎるぅー!! では、魔の邪神直伝!! 『
いかがわしい写真を撮ろうとしていた小太りの男のスマホから煙が立ち上り、その数秒後には発火する。
電子機器ならば全てを故障させる、魔の邪神の必殺魔法である。
「……あっ。ちょっと鉄人さん。あそこ見てください」
「おやおや。あれはテニス部の女の子だね。どう見てもナンパされてる! ありがちー!!」
「つまらないリアクション取ってないで、行きますよ」
「へーい! じゃ、僕が先に話の腰をへし折っとくよ! あー! すみませーん!! ちょっとお聞きしたいんですけど、トイレってどこにあるかご存じですか? いやー! もう漏れそうで!! お兄さん、ご存じない? このままだと、ここで粗相しちゃいますよ、僕ぅ!!」
鉄人がナンパ男にウザ絡みしている間に、柚葉が手際よくナンパを断れずにいた気弱な女子を救い出す。
「大丈夫でしたか? 怖かったですね。でも、もう安心ですよ!」
少女は柚葉の顔を見て、激しく驚いているように見えた。
スタイルが非常に良い彼女は、柚葉の胸よりもさらに大きい膨らみを押さえて質問した。
「あ、あの! 間違ってたらごめんなさい! 間違ってるはずないんですけど!! あなたは春日柚葉さんですか!? ですよね!? 尊みが溢れていますもん!!」
「はい、そうですよ! ええと、どこかでお会いしたことがありますか?」
「あばばばっ! 私が勝手に崇拝しているだけでして! 私、
ついに登場する、未美香に良くない情報を伝授する影の宣教師。
だが、体はわがままを極めつつも心はピュアな乙女。
アキラちゃんはここにいた。
◆◇◆◇◆◇◆◇
農家と大魔王と農協の3人。
チーム混沌は開店直後のメイド喫茶のど真ん中に居座り、異様な空気を垂れ流していた。
彼らのオーラに気圧されて入店を諦める者もおり、本来であれば営業妨害とも言えるギリギリグレーゾーンなお客である。
が、未美香が「あそこにいるのがね、あたしのお兄なんだぁ!」とクラスメイトに紹介したため、春日黒助の行動は全肯定されることとなる。
未美香の言葉は天よりの贈り物であり、そんな彼女が嬉しそうに自分の兄だと言って迷惑客を指さしたなら、それはもうビップ待遇の始まりなのである。
男も女も老いも若きも、春日未美香の笑顔が大好きで仕方がない。
これは、もはや世界の真理であるとベザルオール様は納得する。
「お兄! ベザルオールさんと岡本さんも! お待たせしましたっ! 愛情オムライスと、ラブラブアイスコーヒーですっ!!」
「くっくっく。キタコレ」
そこに未美香のクラスメイトの女子が3人ほどやって来て、メイド喫茶のお約束について説明し始めた。
「あのですね、よろしければご一緒に美味しくなる魔法をかけてください! おいしくなーれ! 萌え萌えきゅん! はい、お願いしまーす!!」
「……じいさん。任せた」
黒助の信任を受けたベザルオール様、本領を発揮する時は今。
「くっくっく。余は全知全能の大魔王なり。おいしくなぁれ。萌え萌えぎゅぅぅぅん。くっくっく。心の底から湧き上がって来るこの感情。これが真なる愉悦。戦争などでは味わえぬ、理を超えた喜び。くっくっく。萌え萌えきゅん。くっくっく」
その後、岡本さんが「このオムライスに使われているニンジンと玉ねぎ! 素晴らしいですねぇ! ああ、うちの直売所で売っているものでしたか!!」と何やら白々しい言葉を吐く。
それを黒助とベザルオールは「なるほど。そういう訳でしたか!」と応じる。
文化祭編はまだ続くらしい。
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