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先生、 あ、いや先生という呼び方でよろしいんでしょうか。構わない? あぁよかった、大丈夫なんですね。
スミマセン、なにせこういうところに来るのは初めてなので、僕。ハハハ、緊張しますね。あれ、なんで笑っているんですかね、おかしくもなんともないのに。
それでですね、今日ここに来たのは他でもないんです。
実は僕、重い病気にかかったみたいなんです。
え? 来る場所が違う?
いや、間違えていませんよ。僕の病気は外科手術や薬で治るようなものじゃないんです。あのブラックジャックだって無理ですよ。
これは、これはいわゆる恋の病なんですから。
だから、親にも内緒で来たんです。
相手ですか?
かわいい子ですよ。
ほら、■■■■に■■■■■って子がいるでしょう? あの子にちょっと似ているんです。顔っていうか雰囲気が。一見、お嬢様っぽいのにさばけているというか。バラエティーでも積極的に面白いこと言って前に出るし、バンジーとかゲテモノ食いとか体も張れる。
え? 知らないんですか、先生?
先生、いくつですか? いやいや身長じゃなくて。
へぇ、案外、若い。なのに知らないんですか? 変なの。職場の人に馬鹿にされませんか、そんなんだと。
まぁいいや。で、なんの話でしたっけ?
そうそう、彼女の、彼女っていっても付き合っているわけじゃないんで、まだ。恋人って意味じゃなくて代名詞的な意味での彼女ですけど。
彼女、二年六組なんです。僕は五組。隣のクラスなんです。
うちの高校は変わっていて、一応、男も女の子もいるんですけど、クラス分けは男子だけのクラスと女子だけのクラスになっているんです。
一組から五組が男子、六組から十組が女子。先に男子のクラスが来るってあたり、時代遅れですよね。
しかも、成績順に早い番組のクラスに割り振られるんです。だから、六組は女子で一番頭のいい子たちが集まっているんですよ。
当然、二年生でも大学受験を見据えている子ばかりで。だから、彼女が大学に受かるまでは僕、アクションを起こさないつもりでいたんです。
でも、我慢できなくて。ほら、彼女かわいいから男子に人気があるんですよ。
先生、僕、どうしたらいいんですかね。
待つべきだとは思うんですけど、待てない事情があるんですよ。
僕、今年で高校を辞めるんです。
定年退職するんですよ。
え? 君が決めればいいって?
どうしたらいいんだろう?
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