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 先生、ちょっと訊きたいことがあんだけどさぁ、いいかい?

 いい? よかった。いや、なにたいしたことじゃないんだよ。時間はとらせないよ。

 平気? ホントに? 本当に大丈夫?

 オーケー? よかった。いやさ、こんなこと訊けるの先生くらいだからさ。

 ほら、俺、友だちいないだろ?

 え? あぁ、あいつね。あいつは、友だちじゃないね。友だちだったけど。今はもうそうじゃない。

 なにかあったのかって? うーん、そうねぇ。あったといえばあったし、なかったといえばなかったし。まぁそんな感じかな。いいじゃん、それはさ。先生には関係ないことだし。

 いやいやいや、先生をのけものにするつもりはないし、先生のことを信用していないわけでもないし、ましてや先生のことを嫌いなわけじゃないんですよ。

 だって、すごいじゃん先生。いや、ほんと、本当にホント、マジマジ、これマジで。すごいよ、あんたはすごい、本当にすごい。なんでも知っているし、なんでも相談に乗ってくれるし。頭がいいんだなぁっていっつも思ってる。うん、そうそう。

 ただ頭がいいってだけじゃあないんだな、先生は。森羅万象、物事をよく知っているだけってだけじゃない。賢いんだよ、先生は。だから、みんな相談に来る。大変じゃない?

 平気? 慣れた? へぇ、そう。ふぅん。迷惑じゃない? 時間、大丈夫?

 ホント? ホントにホント? ならいいんだけどさ。

 で、えーと、なんだったっけ……あぁ、そうそう、それそれ。相談、相談、俺の相談だったっけね。いかんねぇ、最近さ、物忘れが激しくてさ。俺ももう歳かな。いや、まだ老け込むような年齢じゃないな。

 あのさ、先生、これ、絶対に内緒だぜ。秘密、守れる?

 え? なに? なんだって? シュヒギム?

 なにそれ、おいしいの?

 冗談だよ、冗談。俺だってそれくらい知っているさ。食い物じゃないんだよな。あれだろ、ほら、あれ。例のあれ。みんながよくいうあれだろ。うん、そうだそうだ。

 それそれ、そうそう、今まさに俺も言おうとしていたところだよ。秘密を守る義務! そう、それ。ここまで出てたんだよ、喉仏のところまで。

 なら安心だな。先生にはシュキ義務があるんだから、シュキ義務が。いや、違うごめんごめん、ちょっと言い間違えたね。シュク義務だ。

 で、話ってのはね……

 言おうかな? 言わないかな? 言っちゃおうかな?

 ねぇ、先生、聞きたい? 聞きたい? 聞きたい、聞きたい?

 あー、もうどうしようかなぁ。なんか恥ずかしくなってきた。急に。急に。突然。

 どうしよう、どうしよっかなぁ。


 え? 君が決めればいいって?

 どうしたらいいんだろう?

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