?×21=Mし
君は見た。
左を。
扉は……ない。
だが、これは想定のうちだ。
君は右を見た。希望とともに。
そこにディスプレイがあり、謎を解くことができれば外に出られる。ここから抜け出すことができる。
どんな謎だろうか。最後の謎になるのだから、これまでよりも難しいはずだ。
それでも解く。解くしかここから脱出する方法はないのだ、と君は決意する。
君は顔を右に向ける。
そこには白く輝くディスプレイが、なかった。
壁だった。ただの壁だった。
君は戸惑う。正面を見直し、左を見直し、壁であることを確認する。
はっと気が付く。
振り返って後ろを見る。
のろのろと扉が下がっている。もう半分以上、扉は降りてきている。床との隙間はゆっくりとだが確実に狭まっている。
君は気が付く。
扉が降りきってしまえば、出口がなくなることに。閉じ込められることに。
今ならば、ギリギリまだ間に合う気もした。ヘッドスライディングのように飛び込めば、前の部屋に戻れるかもしれない。だが、戻ってどうするというのだろう。戻れるのならば、まだいい。
扉に挟まれて潰される可能性もあるのだ。扉が骨を砕き、内臓を潰す。想像するだけで痛い。死にはさまざまなものがあるが、悲惨な死にざまだ。
だが、このまま動かなければ、部屋に閉じ込められる。狭い空間だ。やがて酸素がなくなるだろう。待っているのは窒息死だ。
なんらかの換気システムがあって酸素が得られるとしても水も食糧もない。餓死が待っている。
せめて、あの謎の水槽の部屋の戻ることができたならば。
あそこには水分も食糧もある。決して口にしたいとは思わないが、死ぬとなれば、最悪の選択もせざるをえないだろう。
扉と床の隙間は狭い。扉は動き続けている。
さぁ、どうする?
君が決めるのだ。
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