?×3=Jを
君は歩き出した。
隣の部屋へと進む。
狭い空間の中央までたどり着いたところで、周囲を見回した。
前の部屋と同じで、なにもない。
左手の壁の一部がディスプレイになっている。
今度はなにが映し出されているのか、とゆっくりと歩き出す。
そのときだった。
さきほどと同じモーターの駆動音のようなものとともに、入ってきた扉が閉まり出す。
戻るべきだろうか。
扉はゆっくりと上から下へと動いている。
今なら、まだ間に合いそうだ。
通り抜けようとしたところで急にスピードが上がり、扉と床に挟まれるのではないか。
そんな不安もよぎった。
結局、君は戻らなかった。のろのろと閉まる扉を見つめていた。
閉じてしまうと、そこに扉があるようには思えなかった。どんな技術を使っているのかはわからないが、ただのコンクリートの壁のようにしか見えない。
君は右を見る。そこにはディスプレイがある。なにか映し出されている。
君はディスプレイの前に進む。ゆっくりとだ。
君は急に不安になる。空調はどうなっているのだろうか、と。この狭い空間で酸素を吸い尽くしてしまったらどうなるのだろうか、と。
鼓動が速くなる。
考えていても仕方がないと割り切り、君はディスプレイを見る。
画面の中央に黒い横棒が映し出されている。あるいは漢数字の【一】かもしれない。いや、【一】ではない。
棒の左端に赤い丸が点滅しているし、右端には白い丸があるからだ。
さきほどと同じように、君は明滅をくり返す赤い丸に触れる。
けれども、なにも起きない。扉は開かない。
さぁ、どうする?
君が決めるのだ。
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