?×2=Gぬ

 君は謎の点滅する赤い丸に手を触れた。


 赤い丸が消えた直後、カチャリという音が聞こえた。どこかで耳にしたような音だ。音は天井から響いてきたように思えた。


 白く光っていたディスプレイがふっと暗くなる。部屋は暗闇となった。


 はっと君は息を呑む。


 それまで明るかった壁の一部が、残像のように明滅しているように見える。


 さっと足元に光が差す。かすかだが、モーターの駆動音のようなものも聞こえる。視覚情報が充分に得られる環境では、存在に気付かないほど小さな音だ。


 壁の一部を形成していた大型ディスプレイが扉のように上昇していっているらしい。壁は動きを止めた。通路ができた。


 壁の向こう側にも部屋がある。今、君がいる部屋と同じようなつくりらしい。


 できた四角い穴の向こうにも、冷たい印象を与えるコンクリートの壁が見える。


 今、君が立っている場所から見える範囲には、家具のたぐいもない。


 人の気配もしない。少なくとも、君は感じない。


 もしも隣の部屋に誰かがいたとしても、その何者かが壁にぴったりと体をはりつけるようにしていれば、君のいる場所からは見えない。


 隣の部屋へと繋がる道はある。


 さぁ、どうする?


 君が決めるのだ。

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