厭離穢土

木耳

第1話

 恐れていたわけではなかった。影から逃げてきたマリアがいくつかのもめごとの末、腰を落ちつけたのは町のはずれにある誰も住みたがらないような薄汚いアパートだった。

 生きていくためには、我が子の可愛さだけが頼りだった。その溺愛は息子のジョシュアに、強大な想像力を与えた。彼が4歳になったとき、もともと体が弱かった彼女は倒れ、そのまま息をひきとった。それは雪の日だった。

 ジョシュアを引き取ったのは彼女に惚れていたルイニという男だった。彼は音楽教師をしていた。バーで働くマリアを彼はなんども経済的に支えようとしたが、マリアは頑なに断り、日雇いの仕事との掛け持ちを続けた。そんな彼女の最期の頼みが、一人息子を引き取ることだった。

 彼の自宅兼教室には毎日のように生徒が来た。ジョシュアは金持ちの子供たちのへたくそな演奏を聞きながらやがて6歳になった。

 ある日ジョシュアは奇妙なことをルイニに告げる。この町に人さらいが現れるというのだ。

「女の人が、音をたてないように歩いてる」

 ルイニは信じなかった。だがジョシュアの想像するものにはきっとなにか根拠がある。そのイマジネーションはすべて音についてのものだった。夜ベッドに忍び寄る足音、自分をからかう声、だとか、マリアが窓の外で歌っているとか。この子は耳が過敏らしい。コップや食器を置く音にすら、時折おどろいて肩をこわばらせるほどに。どこかの家の怒鳴り声を聞くと耳をふさぐほどに。きっとマリアが子守歌さえも歌えないほど疲れて倒れこむような夜、寝息と夜の静寂から歌声を聴きとっていたのに違いない。

 彼の耳はあまりに多くのものを拾い上げてしまう。だから存在もしない音を、すでに音にあふれた世界にみいだしたりするのだ。ルイニはそう納得していた。

「大丈夫だよ」

 ルイニは抱きしめてやった。ジョシュアの茶色い髪からはマリアと同じ、神秘的なにおいがした。礼拝堂にさしこむ、ほんのわずかなひだまりのにおい。どうかあの子を守ってほしい。この子をおびえさせるもの全てを遠ざけてほしい。ルイニは思った。僕がこの子を守らなければならない。


 ●


 大きな光とともに、大きな揺れが町を襲った。

 

 我が子を探して瓦礫の中を歩いた。まるでカラスの羽に包まれたかのように、黒々とした煙混じりの雲が月も星もおおい隠していた。絢はよろめきながら進んだ。確かに自分の腕にあったはずの小さな寝息を、聞き逃すまいと耳をそばだてた。昔から耳だけは、過敏すぎるほどによかった。

 避難所の灯りを背中に感じた。さっきまで絢はそこにいた。体育館のどこか懐かしい匂いがまだ鼻にのこっている。それから、ヒステリックな声がまだ耳に淡くこだましている。

「子どもなんておらんかったやろ」母の声だ。

「あんたは産めん身体やろ。ほんま、こんなときに」父のほうを見ても、目をずっと伏せたままだった。さまざまなことが反芻され――街では黒い煙が上がっていた。彩矢は急いだ。それは音ではなかったが、確かに煙のなかに聴いたのだ。遠かったが、たしかに赤子の寝息だった。

「私の子」

 不揃いに尖った町の破片が、スニーカーのすり減った靴底をやぶって、足裏に突き刺さった。

 血。と絢は思う。血で思い出すものは母だった。

 それがどこからあふれ出た血であっても、絢は母から隠してきた。怪我をしても言えなかった。初経を迎えたときも言えなかった。絢はずっと家族と暮らしてきたが、ずっと嫌いだった。だが子供を育てるとなると、嫌でも頼らなければならない。母は絢の育てなおしをするかのように、ミルクをあげ、オムツを換えた。抱きかかえ、名前を呼び、あやした。子守歌をうたった。

 絢はそこで気づく。我が子の名前――腹をいためて産んだはずの、自分の子の名前が思い出せないのだ。「産めない身体」と母は言った。だが、確かに産んだはずだ。立ち尽くしていると、一人の男の姿が視界に飛び込んできた。

「ばあ」

 と言った。

 男は上半身は裸で、下半身も裸だった。要するに全裸だった。もっといえば、毛髪も体毛も一切なかった。こんなに覆うもののない皮膚を、絢ははじめて見た。

「ばあ」と男はまた、言った。

「えっ……」と絢はまじまじと見てしまっていたことに気づき、男の頭から目を逸らした。

「えー! もっとリアクションないの?」

「えっ……」

 どうにか、言葉をひねり出した。

「あの……何なんですか?」

「露出狂です」

 男の背後で大きな光がおこり、すこし地面が揺れた。

「露出?」

「こんな時だからなんですよ。私は、このような災害の時を待っていたんです」

 その肌は異様なほど白かった。

「この緊急事態に、警察もクソもないでしょう? それに、みんな避難してるから、人様に迷惑をかける心配もない。だから心置きなく街中で全裸になれるというわけなんです。ちょうど3・11のときに思いついたアイデアなんですけどね」

 どうも嘘っぽい、と絢は思った。男は続けた。

「それにしても――あなたはなぜここにいるんですか」

 だがそれは絢にも分からないことだった。ありもしない子供を、幻を追いかけ、気づけば飛び出していたのだ。そもそもここはどこだろうか。いくつかの建物が崩れてしまっていて、見慣れたはずの景色なのに皆目見当がつかない。

「避難したほうがいい」

「えっ……はい……」

「足も怪我してる。さあ、こっちへ。救急箱があります」

「……着てください、服を」

 着ますよ、と言って男は背を向けた。

 尻は黄色く、あざがいくつかあった。そんな後ろ姿を追いかけてしばらく歩くと、かろうじて屋根のある寺についた。木が倒れ、それが建物の一部に突き刺さっていたが、それ以外は綺麗なものだった。

「お坊さんなんですか?」

「ああ、この頭はただ好きで丸めてるだけで、べつに坊主じゃないですよ。お経も読めない。ただ、ちょっと縁があって、勝手に出入りして良いことになってはいますが」

 絢は広い玄関に腰かけた。線香と人の家の匂いがした。電気はつかないので、寺の奥はほんとうに真っ暗だった。男は闇のなかへ消え、しばらくすると救急箱をもって現れた。相変わらず服は着ていなかった。

「足を」「すみません、ここまで来てしまってなんですが、歩けるので手当をするほどでは……」「でも、ばい菌が入ったらいけない」「いえ、大丈夫なんです。すぐに避難所に戻りますし」「でもお子さんは?」「え?」「子供を探してるんでしょう? いつもこの辺りを歩いていますよね」

「ええ、まあ」としか答えられない。自分に子供なんていない――つい先ほどそう結論付けたばかりだったから。

「たしかに見たんですよね?」「ええ、見ましたとも」「どうしてそう思ったんですか?」「私、子連れの女には目がないもので。窓から眺めては毎日シコってましてね」「要らないんですよ、その報告は」「セックスしてる女って感じしません?ベビーカー押しながらオケツぷりぷりさせて歩いてるだけで、もうタマランですよ」「黙ってもらえますか」「いや失敬。で、つまり、通りすがりのあなたにバブみを感じてた私だからこそ、母性の対象を失ったことが容易に理解できたんです」「そうでしたか」

納得はできなかったが、しかし茫然自失として何かを探しているように見えたのなら、それはそうなのだろうと思った。

「探していました。ですが、ごめんなさい、ずっと気が動転していて。たぶん避難所に置いてきたんだとおもいます」

「いいえ違いますよ」

 と、少し強い口調で男は言う。

 線香の匂いが先ほどよりも強まった気がした。

「産んだ実感が持てない。そうではありませんか?」

 じんじんと足が痛んだ。

「その身に宿した命なのに、あなたはずっと実感が持てずにいた。だから奪われたんですよ」

「奪われた?」

 誰が奪ったというのだ。

「神様にです」

 

 光とともに、神様は町に現れた。あらかじめ啓示はあったのだという。絢たち人間にはわからない形で、それは日常にあふれていたのだ。神様はこの世界がとても嫌いになったので、子供がもう生まれないようにするのだという。また生まれたばかりの子供は別の世界へと送り届けるらしい。はじめから存在していなかったことにして。男が言うには、この光の一つ一つとともに赤子の魂が、神様が作ったトンネルを抜けてこの世界ではないどこかへ移動しているらしい。

「わたしはいわば神に仕える天使的なやつです。ほら、絵画の天使は裸で描かれてるでしょ。だから裸なんですよ」

「どうして赤ちゃんを奪うんですか」

「うまれるべきではなかったからです」

 男は言った。

「あなたが覚えていたのはとても稀有な例です。そんなことは神も私も想定していなかった」

「私の子はどこへ行ったんですか」

「別の世界ですよ」


 ●


 ジョシュアについて、かつてルイニはマリアに訊いたことがある。父親が誰なのかについて。「父親はいないの」とマリアは言った。「どこから来たのか……気づいたらおっぱいが出るようになってたし、可愛いと思うようになってた。不思議よね。子供なんて嫌いだったのに」

 そんな冗談を言って、とルイニは思った。彼はマリアの苦しみに一つも触れられなかった。というより、まるでジョシュアにそうしているように、苦しみもうっすらとした母性を抱いているようだった。

 なぜそんなことを思い出すんだろうか、ルイニはこのときの一瞬一瞬を、それ以外の記憶よりもずっと鮮明に覚えていた。彼女のことでいつでも思い出せるようにしているのはその時のことと、彼女の遺書とも呼べるでであろう手紙についてだった。『あの子をお願いね。愛してるわと伝えて。それからこれは、あなたにも。』勝手だ、とルイニは思った。子供だけを押し付けるつもりなのか、と。どうして僕を受け入れてくれないんだ、とルイニはいつかマリアにそうこぼした。マリアは笑って、それからキスをして、「放っておけない人がいるの」と言った。「それって男の人?」そんな会話だったかは覚えていない。そもそもそんなこと、本当に話したかどうかも。

 黒い女の人の話をしてから、なにもかもがおかしくなった。食卓に座るときはいつも行儀よくしていたジョシュアだったが、フォークとスプーンを使って楽器のように音をたてるようになった。食事のときだけではなく、つねに指や足をつかって音を発している。まるで僕と会話なんてしたくないみたいだ、とルイニは思った。それとも、ほかの誰かと話ているのか。どんどんちりちりかんかんとんとん。「良い子だから、食べるときは静かにしよう」と言っても、数分後にはまた虚空にむかって演奏会をしているのだ。そんな姿をみて、これくらいの歳の子はこんなものだとルイニは思った。だがそう思いきれない何かが次第に表出していった。

 ある晩、彼は電気を消してベッドに横たわりながら、目の前に広がる暗闇へむかって語りかけた。

「誰なんだ」

 暗闇の中で音が揺れていた。それがはっきりとわかった。そこに誰かがいる。

「お前は誰だ」

「パパ」とジョシュアが起きてきた。「来るんじゃない」とルイニはとっさにそう言った。「ママだよ」とジョシュアが言った。

「マリアなのか――」

 答えない。

 ジョシュアはルイニの足にぴったりくっついていた。彼は暗闇を恐れていたわけではなかった。ルイニはそう思う。怖がってなんていない。この子は暗闇に、お母さんを見出していたのだ。


 ●


 男の金玉はいびつで、イソギンチャクの触手のような長いイボがいくつも生えていた。それは陰毛のようで、しかし時折ピクリと動くから毛ではないと一目でわかった。

「神様は私の金玉のなかに世界を構築しました。それ以来私の金玉はこのように、非常にいびつな形状をしています」

 しかし大きかった。それは絢が男とはじめて会ったときから感じていたことだ。大きすぎる。

「ここに、顔をうずめればいいんですか?」

「そうすることで、あなたはこの世界……浄土から子供を救い出すことができる。少なくともそのチャンスは与えられます」

 迷うのは、この汚い金玉に顔をうずめることだけではない。この世界に再び子供を連れ返すのは、はたして我が子のためなのだろうか。そもそも絢には親であるという自覚はなかった。それはすでに消し飛んだ記憶の残骸だった。

「行くんですね」

「私の子ですから」

「ではお気を付けて。帰るときは触手を一つ引っ張っていただければ」

 絢は異臭のする金玉に顔を近づけた。そして祈った。我が子に会わせてほしい。産み育む痛みを返してほしい。そして次の瞬間には身体が真っ黒になっていた。そこは和音のように様々な音が響きあう夜の街だった。人がいた。何人も歩いており、話していた。その中に自分がいるとわかった。絢は音だった。重なりあう音のなかで唯一そのどれとも響きあわない、小さく、誰にも聞こえないようなわずかな音で違和感を主張するアヴォイドだった。絢がどこにいっても、誰も彼女を見ることはなかった。黒い身体をひきずって、絢は町をさまよった。そうしていると次第に我が子のことを思い出してきた。

 生まれてきてくれたときのこと。首にへその緒がからまって、うまくお腹の中から出てこなかったこと。父は女の子がほしかったから、絢のいないところで「なんや、男の子かいな」と言っていて、それをあとで母親に告げられた。誰の子か分からない子供を一人で育てていくのは大変だった。女の身体は値崩れを起こしていく。ただ絢に与えられた「母」という属性は〝富の再分配〟にありつくためにはちょうどよかった。毎日男に乳首を吸われ、アルコールで消毒し、よく拭き取って、それから我が子に与え、常に鈍い痛みを感じて過ごしていた。毎日眠れなかった。結局あれだけ嫌っていた親のもとで過ごさなければいけなかった。頼らなければ生活すらままならなかった。寝室のオレンジ色の豆電球に照らされて、絶叫している我が子の姿をみると、そのまだ座っていない首に手を掛けずにいられなかった。こんなところにいたくない。絢はそのすべて思い出した。

 だが、肝心の我が子はまだ見つからなかった。真っ黒の身体をうまく動かすすべを模索しながら、絢は自分が何になってしまったのかと考えた。だが答えは出なかった。

 朝になって、絢は一人の女の子を見つけた。そう、女の子だ。名前はマリアで、親からそれほど愛されていないようだった。絢はその子がいずれ我が子を産むということがはっきりとわかった。それからマリアにずっと張り付いて過ごした。マリアが発する音に耳を傾けながら。マリアは幸せではない子供だった。なんといっても貧乏だったし、親も彼女のことをあまり好きではない様子だった。騒音のはげしい地下鉄のすぐそばに彼女の家はあり、その家には飲んだくれの母とめったに帰らない父がおり、家は小さな暴力と大きな音に支配されていた。マリアは一人歌を歌うのが好きだった。絢もその歌に合わせて歌った。ららららららら。「こんなところにいたくない」その声は絢が唯一調和できる音だった。やがてマリアは半ば捨てるように家を出て、男の家に転がり込んで暮らすようになった。彼女を愛す男はたくさんいたが、長く続くことはなかった。やがてマリアは一人の子を身ごもった。絢はその心臓の音を聞いて、我が子だとすぐに確信した。すぐにでも奪い去ってしまいたい。だが、思った。この子は私のものなのか?あんな世界に、あんな夫、父、母、あんな町、あんな国、あんな自分に、この子は育てられなくてはいけないのか。絢は踏みとどまり、しばらく見守ることにした。産まれてから判断すればいいことなのだ。いつか私はきっと取り上げる。この親から。この子供を。

 そしてジョシュアが産まれた。ジョシュアは目の丸い、どこか神秘的な子供に成長した。子供というのは神秘にあふれているように大人の目にはうつるものだ。知能が育ちきっていないから、表情もなにもかもあやふやな人形のようで、しかしじっさい子供というのはからっぽなものなのだ。産後の生理不順と不安からくる寝不足の悪循環がいっぺんにおしよせてきたある晩、絢がそうしたように、マリアも何度かそうしようと魔が差す。子を産むというエゴを自ら閉ざそうと。子宮にいたころにもそう考えた。その暗い衝動を感じるたび、絢はうれしく思った。それは自分が抱いたことのある感情だったし、なにより我が子を取り戻すための口実にもなり得るのだ。しかしマリアはその手を緩め、そして絢も同様にジョシュアを抱き上げることができなかった。「ごめんね……ごめんなさい」私は何をしているのだ。「私に母の資格なんて――」何のためにここに来た。絢は今度こそジョシュアを抱こうとした。しかし無理だった。自分にそんな権利があるのか。黒い衝動が絢の身を焼いていった。奪う。私のエゴを取り戻す。それは毒となり、もともと華奢なマリアの身体を次第に侵していった。我が子を、呪われた世界に連れ戻す。だがその衝動を制しているのは紛れもなく絢そのものだった。絢もまた侵されていった。黒い母性の塊となって、ジョシュアをはぐくんだ。ららららららら。すべての苦しみが歌に変わった。呪われてあれ。時とともにその音はうねり、強まり、二人の子供をつつんでいった。それは愛とも憎しみともつかない濁流だった。それは母にしか歌えないうただった。ららららららら。

マリアの身体はやがて腐り、朽ちた。それでも子守歌は響き続けた。


 〇


「もういいんですか?」

 と男が頭上で言った。絢は男の股間から顔を引きはがした。

「もういいです」

 吐き気が止まらなかった。ひどく臭った。その悪臭の原因となる液体は男の股間から染み出しており、絢の鼻や口を覆っていた。絢は嘔吐した。内容物の乏しいしゃばしゃばとした吐しゃ物が男の股間にかかった。絢は口を拭いながら立ち上がった。

「お子さんは」

「置いてきました」

 男は倒れそうになる絢を支え、それからつくったようにニヤリと笑った。

「なるほど、赤ちゃんポストやコインロッカーよりはマシって考えですか」

「うるさい」

「同じ子に親は二人もいらない……だったらあちらに任せたほうが良いと。この滅びかけた世界よりも」

「うるさい」

「あなたの選択でしょう」

 絢は男につかみかかった。口のなかで、まだ吐しゃ物の味がした。

「もうやめにしませんか?」

「なにを」

「こういうのです」

 光る。夜が子供たちのために光っている。大いなる揺れが空っぽのゆりかごを揺らす。

「つぎ途中で投げ出すようなことがあれば――許さない。殺してやる」

 どうぞ、お好きに、と男は言った。

 絢はめまいとひどい頭痛に耐えながら、寺を出た。「どうぞお気を付けて」絢は答えなかった。そして母と父の待つ体育館で、誰とも顔を合わせず、一人うずくまりながら、すべてが終わるのを待った。彼女が最期に見たのは雪だった。冷たい、しかし誰かの足跡を待っているかのような白が、目の前のすべてを覆っていた。絢はそのなかを少しだけ歩いてみた。そして大きく息を吸った。肺の中が冷たく満たされ、ようやく吐き気が消えていくのがわかったので、つい今しがた思い出したばかりの我が子の名前をおおきく吐き出した。音は白い息となって、やがて消えてしまった。

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