第56話 5-6 ドラゴンの首とったどー
作戦当日
NYを根城にドラゴンは、のんびりしていた。
人間はいないかなーとあたりを探してみるが、もうすでに避難済み
だから今日もやることがないので寝る。
ん? あれは人間たち。
今までも何回か歯向かってきたがすべて食べてやった。
だから今回も同じように食ってやろう。餌だ餌だ。
ゆっくりとドラゴンは、人間へ近づく。
一歩。一歩
そして一人の小さきものが目の前に現れた。
一人?一人なのか? ははは!
そんな小さな存在がなにができるのか。
一思いにかみ砕いてやろう。
ドラゴンは、少年に向かって飛びたった。
そして、思いっきりかみ砕く。そこでドラゴンの意識は消失した。
周りで待機していたメンバーは目を疑った。
日本国の英雄だ。きっと攻撃はよけてくれる、時間を稼いでくれる。
そして合図とともに全火力をぶつける。そう思っていた。
しかし、どうもこうもない。
あの少年は、ドラゴンの噛みつきを正面から防いだばかりか、あまつさえ反撃した。
その一閃、まさしくかの国のサムライが得意とする居合切り。
構えたと思ったら、次の瞬間にはドラゴンの首が飛んでいた。
一同は、唖然としながらも剣也に近づく。
「あ、倒してしまった」
正直いけそうだなと思ったとはいえ、作戦を無視してしまった。
これは怒られるかもしれない。
別に倒してしまっても構わんのだろう? 構わないよね? 罰とかないよね?
「剣也君、君は一体どれほど…」
後方で待機していたカーネル中将は歩いてくる。
光の粒子となったドラゴンを見ながら、いまだ動揺を隠せない。
「すみません、いけると思ってやってしまいました、問題なかったですか?」
「あ、あぁ、本来作戦行動外なので処罰するべきだが、君の管轄は日本なのでね。私にその権利はない。とはいえ、これを処罰するわけにもいかんだろう。まさか一人で一刀のもと切り伏せるとは」
そして作戦は終了し、NYは解放された。
「すごいですよ! 剣也さん! まさか一刀とは! これがサムライなんですね」
ビアンカは帰りの車で興奮し、鼻息を荒くして剣也へ詰め寄る。
近い。近い。胸が当たる。当たるから。もうちょっと寄ってもいいよ。
「あぁ、Aランク魔獣なら正直もう相手ではないからね、あまり強さを感じなかったよ」
「すごいです! 私も一応Aランクギフト持ちですが、正直あのドラゴンには勝てる気がしませんでした!」
ビアンカもAランクギフトを持つ。AとCランクだ。ワールドクエストをクリアし、始まりのタネを一つもらったらしい。
ワールドクエストは世界で、
やっと終わりが見えてきた。
「では、明日の交流戦の説明をしますね!」
あぁ、忘れてた。交流戦も用意されていたんだった。
「明日の交流戦はトーナメント形式で、行われます。
各国が2名代表を選出して戦います。私もアメリカ代表なんですよ!
参加国は約50 合計100人のトーナメントです!
決闘モードを使えば疲労もケガもないので一日で終わる予定ですよ!」
確かにあのモードなら、疲労もケガもない。
それに模擬戦は長くても10分とかからないだろう。
彪雅と武のような試合もあるだろうが、そういう場合は判定にゆだねるらしい。
「では、また明日頑張りましょうね!」
そうして、剣也と静香は高級ホテルで降ろされる。
「なんか疲れたね」
「ええ、とりあえず部屋で休みましょうか」
剣也は予約されていた部屋に入り、ベッドにうずくまる。
スイートルームだ。こんなでかいベッド何に使うんだと思いながらダイブする。
「明日は交流戦か、どんな相手がいるんだろう」
疑問に思うが、今日はもう眠い。意識が薄れ、夜が更ける。
…
翌日
「さぁ! 始まりました。世界神の子交流戦! 実況を務めます。カッツです。そして解説はアインズさん」
「よろしくお願いします」
元気のいい実況と、冷静な解説
まるでスポーツ観戦だと思ったが、こんなご時世娯楽の一つもないと。
それに、世界中が注目している。今この世界を守ろうとする子供たちがどれほど強いのか。
頂点は誰なのか。
「どうですか? アインズさん。注目選手はいらっしゃいますか?」
「そうですね。やはりアメリカ代表 ビアンカ選手のワンハンドレッドは脅威でしょう。単純な膂力でいえば世界一ですからね」
「なるほど、なるほど。ではもう一人ぐらい聞いておきましょうか」
「あとは、一時期話題になった日本のサムライ。しばらく活動を聞きませんでしたが、今回出場するとのことです。どこまで食い下がれるか見ものですね」
剣也の活躍は、世界的に見ればゴブリンキングの動画で止まっている。
修行期間もあり、印象は薄れているのだろう。
「なるほど、それは楽しみですね! おーここで、選手入場です。参加国は46国、総勢92名の少年少女達が入場してきます」
「みんな、さすが戦士の顔をしていますね」
「ここで対戦カードが発表されました。お? これは! 先ほど注目選手と言っていた二人がともに第一シードと、第二シードですよ! 第一シードは、ビアンカ選手。我がアメリカ最強の少女です! 第二シードは、日本のサムライ 御剣剣也だ!!」
「日本のサムライがどこまでビアンカ選手に迫れるか楽しみですね」
実況を聞きながら、剣也とビアンカは入場していく。
「すみません、すみません、実況が勝手なこといって、すみません」
「あ、いえいえ、いいんですよ。特に気にしません」
なぜか剣也がチャレンジャーのように話す実況達は、やはりアメリカ贔屓なのかもしれない。
そしてトーナメントが始まった。
一回戦は、なしなので、2回戦からだ。つまりすでにベスト64
「ここで注目選手 御剣剣也君の試合ですよ。 対戦はギリシャ代表 ギアヌ君だ!」
「ギアヌ君は、一回戦一撃で相手を沈めていますからね。素の驚異的な身体能力そして、パンチの威力が5倍になるというとても面白いギフトをもっていますよ」
「では、両者いいね? はじめ」
審判の声の元
ギアヌ君と日本のサムライの一戦が始まった。
「へへへ、そんな小さな体で大丈夫か? ジャップ」
なんだこいつ。世紀末みたいな恰好して。あほなのか? 防御力皆無だぞ。
ギアヌ君は、ひでぶっといいそうな風貌でピンクのモヒカンだ。
服装はプロレスラーみたいな恰好をしている。
なぜか雑魚キャラっぽいなーと思いながらもこれがテンプレなのか? と剣也は一瞬思う。
それでも国の代表だ。一応気を抜かずに戦おう。
そしてギアヌが走る。剣也の前に立ち、まっすぐ拳を振り下ろす。
拳には、メリケンサックが嵌めれらており当たれば痛そうだ。
「当たればな」
剣也は、紙一重で交わしてそのまま閻魔でギアヌ君の首をはねる。
「ひでぶっ!!」
ギアヌ君は爆発四散とはいかなかったが、想像通りの声を上げながら、その場で倒れる。
「勝者! 御剣剣也!!」
わずか10秒ほどの攻防
観客は驚き、目を見張る。しかし神の子達は驚かない。
昨日の剣也をみていれば、ギアヌ君のように侮るはずがない。
ギアヌ君は昨日は腹を下していたらしい。そんな恰好だからでは?とツッコミをいれたくなるが人には人のポリシーがあるため何も言うまい。
「素晴らしい! やはり強かった。日本の英雄 御剣剣也! これはこのまま勝ち上がってしまうのか?」
そのまま会場をあとにして剣也は下がる。
「もう、特にいうことはないわね。相手が弱すぎたわ」
控室で、静香が剣也に声をかける。
「はは、まぁ彼はBランクだからね」
剣也も笑って返す。正直Bランクは相手にならない。静香ですら相手にならないのだからこの大会で相手になるものがいるのかは疑問だ。
「静香もがんばってね」
「頑張る相手がいればね」
そういって、綺麗な髪をなびかせて静香は控室を後にした。
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