第6話 宣言

 准が奈々子の病室に行くと奈々子の母親が居た。


奈々子はまだ戻って来ていないようだった。


「准くん。まだ奈々子戻ってきてないけど、決まった?…まあ、聞くまでもないかしら。その顔じゃあ、いい返事がもらえそうね」


今の准の顔は、とても清々しい顔をしていた。

さっきまでの不安満載の顔とは大違いだった。


准は、『奈々のことを信じよう』そう決めると、受け入れてもらえなかったら。なんて考えていた自分がものすごく馬鹿馬鹿しいと准は思った。


今まで、情けない自分をたくさん奈々に見せた分、これからはかっこいい自分を見せようと、来る途中に准は決めたのだ。


「俺のこと、奈々に話すの賛成です。もしかしたら、奈々は俺のこと受け入れないかもしれないけど、その時は受け入れてもらえるようにします」


准はにこやかに言った。


准にとっては奈々子の母親に「考えを伝えた」だけではなく、自分にまた落ち込まないように「宣言」をしたのだ。


「うん、分かったわ。多分もうすぐ戻ってくると思うから、奈々子が戻ってきたら話してあげようか。どうする?准くんが説明する?」


「はい、俺が説明します」


准は一瞬考えたが、『もう逃げない』そう決めて奈々子に説明することにした。


准と奈々子の母親は病室の椅子に座って待つことにした。


数分後、病室のドアをガラガラと音を立てながら開いた。

すると、車椅子に乗った奈々子が、看護師さんに押してもらいながら入ってきた。


奈々子は准に気づくと


「あっ・・・」


と言った。

准は椅子から立って、微笑みながら会釈した。


奈々子の母親は奈々子に近づき、


「奈々子、気にしてたでしょ。直接話してくれるって。気になることがあったら、彼に聞きなさい。彼なら、なんでも答えてくれると思うわよ」


そう奈々子を看護師と一緒にベットの上に乗せながら言うと、看護師と一緒に病室から出ていった。


准は再び、ベットの隣にある椅子に座り、口を開いた。

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