第2話 嘘だろ

 点滴がポタポタと垂れ、太陽の日差しがベットの上で寝ている柊奈々子を照らしていた。


ベットの横には奈々子の右手をぎゅっと軽く握りしめながら椅子に座っている妹の柊 愛菜が居た。


ガラガラと病室の扉を開け、鎌田准が入ってきた。それに気づいた愛菜は奈々子の手を離し椅子から立ち上がった。


「奈々、まだ目覚してないか?」


「うん」


そう話していると、また病室のドアがガラガラと音をたてながら開くと奈々子の父親、柊 智と母親、柊 純子、そして主治医の大庭が入ってきた。


「あら、准くん居たのね。毎日毎日来てくれてありがとね」

と奈々子の母親は微笑みながら准に言うと准は、少し俯きながらボソッと言った。


「奈々がこうなったのは俺のせいでもあるし」と。


すると、奈々子が目をゆっくりと開けた。それに気づいたみんなは、奈々子のベットを取り囲んだ。奈々子が目を開けきると


「ここ、どこ・・・」

と小さな声で喋った。すると主治医の先生が、奈々子に近づき話しかけた。


「ここは病室です。私はあなたの主治医、大庭です。これ、何本に見えますか?」


と言って指を三本指にして奈々子に見せた。奈々子は


「三本」


「そうです。じゃあこれは?」


「一本」


「そうです。視覚とかは大丈夫そうですね」

と言うと先生は続いて奈々子に質問した。


「自分の名前分かりますか?」


「柊奈々子」


「そうです。自分の年齢は?」


「十七歳です」


「そうです。じゃあこの人は誰かわかりますか?」

先生はそう言いながら母親を前に出した。すると奈々子は


「柊純子、私の母親」

と答えた。


「そうです。じゃあこの二人は?」


次に左に父親、右に妹をを前に出し奈々子に質問した。


「左が父親の柊智、右が妹の柊愛菜」


「そうです!じゃあ次は・・」

と先生が言いかけるとそこに奈々子の親友、山谷 彩と川谷 琴子が入ってきた。すると二人は、


「奈々!」

と言って凄い勢いで奈々子に近づいた。


「この二人は?」

先生が訊くと奈々子は、


「親友の、山谷彩と川谷琴子です」

奈々子がそう言うので、先生は彩と琴子の顔見ると彩が


「柊奈々子の親友の山谷彩と川谷琴子です!」

それを聞いた琴子は


「そうです!」


と言ったので先生は、

「じゃあ、最後にこの人は?」


と准を前に出した。

准は、これなら大丈夫と思いながら前に出た。すると奈々子は、


「わからない。ずっと気になってたの、あなた誰ですか?」


奈々子ははっきりと言った。その場にいた人はみんな目を丸くした。すると先生は、


「ほんとに分からないんだね?嘘はついてないんだね?」

そう訊くと、奈々子ははっきりと、


「はい、こんな人知りません。」


と言い切った。


「わかりました。起きたばっかりなのに、質問をたくさんしてしまってすみません。後で色々検査をしなきゃいけないので、それまでゆっくり休んでいてください。お父様とお母様、それからあなたも、少しこちらに」


先生がそう言いながら奈々子の両親と准を別室に移動させた。

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