第6話 うどん is God

「終わったぁ!!」


俺は授業の終わりとともに背伸びをして叫ぶ。


大学の授業一コマ90分。

それを4コマぶっ通しで、360分。6時間。


時刻は午後2時。


休み時間はほんの少しあるが、ご飯は食べられていない。


朝から何も食べてないから、腹ぺこだ。


「お前、一度入ると集中力エグいよな。」


俺より先に来て一コマ受けていたらしいから、5コマぶっ通しの砂糖が何気ない顔で爽やかに話しかける。


イケメンアピ乙。


「そうか? ノリと勢いってやつだろ。」


最初の30分を過ぎちゃえば、あとはもう気がついたら終わってる。


手元のノートにはびっしりと何かが書いてあるし、頭にも何が入ってる気がするから。勉強はちゃんとしてある……と思いたい。


というか、小学生からこんなふうに生きてきて、普通に国立大のいいとこに入れてるから、間違ってないと思う。


「飯行くか?」


「もちのろん」


俺と砂糖は立ち上がって教室を出た。


大学には低価格で学生にタンパク質と脂質と炭水化物を補給してくれる、学食というものがある。


マジで助かってる。


時間の記憶はなくても、頭使ってるから糖分は不足してるし、腹は鳴り響いている。


「お前何にする?」


お昼は過ぎたので比較的空いている学食で、砂糖が聞いてきた。


「うどん」


「お前うどんしか食わないよな。米嫌いなん?」


俺が即答すると、砂糖が不思議そうに尋ねてくる。


「白米大好きっ子だぞ。ただ、うどんがそれ以上に好きなだけ。あれは悪魔の食いもんだから。」


あの白い太めの麺をすすったが最後。もううどんの魔力に捉えられて抜け出せなくなる。マジ沼。


天ぷらうどんとかはうまいけど、真の通は素うどんだね。申し訳程度にかまぼこが乗ってるだけのシンプルなやつ。


場所によっては、200円以下で買えるクセして、死ぬほどうまい。マジで神。


「さいですか。俺はチャーハンかな。」


「お前だってそればっかだろ。で、あれだろ? ケーキ食うんだろ?」


俺はメニュー表を見上げる砂糖に言う。


こいつ、名前の通り甘いもんが大好きなんだ。


なぜチャーハンと一緒にショートケーキだの、モンブランだの食えるのかがわからん。


付け合せのあの謎にうまいスープでも飲んでろよ。


「残念。今日はパフェの気分でした。」


「とっちでもえぇわ。」


ドヤ顔する砂糖をおいて、俺は注文に向かった。

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