第5話 セーフ……!?
「せ、セーフ……」
「鈴木、お前アウト。何がセーフだ。普通にだめだぞ。これ書け。」
教室に入って言った俺に、教授が無慈悲な宣告をする。
「そこをどうにか。かわいい生徒じゃないですか。」
俺は手を合わせて頭を下げて、上目遣いでお願いする。
「ダメだ。お前が橋本のカンナくらいかわいけりゃ考えるが、お前男子大学生だろ。はい却下。早く書け。」
教授はチョークを持った左手で机においてある遅刻届けを指さして、しっしっとやる。
ヒドイっ!!!!
せっかくあんたの話聞きに来たのにっ!!
べ、べつにアンタの単位なんてほしくないんだからねっ!!
俺は脳内ツンデレしながら、しぶしぶ遅刻届けを書く。
『お前、そんなんで大丈夫なのか?』
うん。多分大丈夫。
心配そうに言う神様に適当に返事をして、俺は席につく。
大学は自由席。ここでどこに座るか悩みどころだが、俺は一択。
「砂糖、お前のせいで怒られたじゃないか。」
「かんけぇねぇだろ。鈴木。」
俺を見て遅刻すんなと言いたげな表情を浮かべるこいつは、
現代日本で、鈴木よりも多くの子孫を獲得している佐藤と読みは同じだが、漢字は違う。
甘い方の砂糖だ。珍しいよな。
パツキンのイケメン君だ。うらやましい。
大学に入って仲良くなって、俺みたいな陰キャと好き好んで一緒にいる特殊な人種。多分ホモだ。
『紹介雑すぎない? あと、我何すればいいの?』
俺に言われても。ついてきたのあなたでしょ?
「一応言うけど、俺はホモじゃないぞ。」
俺が神様と会話しつつ砂糖を見ていると、砂糖は俺をジト目で見返して言う。
「なぜわかったし。」
「いや、なんとなく視線で。」
やっぱりこいつは俺が好きなのではないか?
「鈴木ぃ、ちゃんと授業聞けっ!!」
俺が疑惑の視線を砂糖に飛ばしていると、教授に怒られた。
「やっぱり、砂糖のせいだ。」
『砂糖くんが不憫でならないよ。』
神様の呆れ声を聞き流して、俺は授業に集中した。
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