第3話 ラノベ主人公風自己紹介
「……はい?」
俺は目の前で起こりうる現象を理解できずに、口から疑問符を垂れ流す。
ちょっと待て。一旦状況を確認しよう。
俺の名前は
ひょんなことから異世界に飛ばされることも、巨乳の幼馴染が毎日起こしに来てくれることも、適当に入ったサークルのアタオカ美少女DKに絡まれることもない人生を歩んできた。
家系がちょっと特殊なことと、現在進行系で変なことに巻き込まれていることを除けば、まじで普通の男子大学生。
そんな俺が朝起きたら、一人暮らしのはずなのにベッドに美少女が寝ていて、目を覚ました彼女は自分を我と言い、俺のことを信奉者と言い放った。
うん。ラノベの主人公風にプロフィールをまとめてみたが、まじで意味がわからん。
思い当たる節といえば、じいちゃんの意味深な手紙と、我が家が三代に渡って崇め続けてきた謎の木の像。
けど、まさかあの古ぼったい木の像が効力を持つなんて、ねぇ?
「古ぼったいとか言うな!! 我が宿ってるんだぞ!? というか、お前の一族が三代にも渡って100年間も我を崇めたから、力が溜まってこうやって降臨しに来たのではないか!?」
俺の脳内を読んでいるかのような適切なタイミングで、神様(自称)がツッコミを入れる。
へぇ、もう100年も崇めてんだ。ひょっとして俺の一族って、おバカ?
「おマッ!? 現時点では神たる我を崇める唯一の血族をおバカとは何だおバカとは! というか、お前もその一族だろ!!? あと神様の後に自称をつけるな! カッコで挟むな!! 我が痛い子みたいだろ!?」
ムキーっと言う効果音がとても似合う表情で叫んだ
やっぱり思考が読めてる……。キャッ、覗きなんてエッチ!
神様って変態だったのね!!
「ふーざけんな、何我を変態扱いしてくれちゃってんの!? 神だから自分を信仰する人間の思考くらい読めて当然だろぉ!? キモくないわキモく! あと、呼び方!! 更に酷くなってんぞ!! なんだ
ハァハァと息を荒くして、
この神様、すんごい面白いな。
俺は彼女との短い会話から、そのことだけを猛烈に感じ取った。
出会ってまだ少しだが、俺には分かる。このツッコミのテンポに豊富な語彙。間違いなく芸人の才能がある。
絶対に芸能の神様に違いない。
服装を見れば、年中ユニシロな俺にはわからないが、なんかこうすっごいヒラヒラとしたカッコカワイイのを着ているから、多分いいスタイリストさんがついてくれているに違いない。芸能界でもかなり大御所と見た。
「大御所ちゃうわ!! なんで我勝手に芸能の神様ってことで話進められてんの!? 我全能の神なんですけど! あと、
俺が散りばめたボケをすべて回収し、そしてさらに己の味まで出してくる。
やはりやり手だな。
俺は感心通り越して、一種の尊敬までいだきながら自称神様とのお話を続ける。
「俺だって好きでふざけてるんじゃありませんよ。けどねぇ、この状況でふざけないわけには居られないじゃないですか。」
「まぁそうだな。突然、崇め続けていた神様が具現化したら驚くのも無理はない。どうだ、生の神だぞ?」
俺の言葉に自称神様は嬉しそうにドヤ顔気味の笑みを浮かべ、ひらりとその場で一回転してみせた。
地味に宙を浮いているのがすごい。
「本当ですよ。大学の講義遅れちゃうじゃないですか!!?」
「いや、そっちかぁぁぁああいっ!!!!」
自称神様のツッコミが響き渡ったところで、俺は本気で学校の準備を始めた。
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