第1話 朝起きたら横に謎の女の子が……?

「ふぁぁ……」


俺は重たいまぶたをこすりながら、あくびをする。


現在時刻、6時45分。家を出る時間、7時00分。


うん。今日も見事なお寝坊さんだ。

でも、15分あれば全速力で頑張れば支度ができる。


幸いなことにここは東京。早いときは1分に1本という驚異のペースで山手線がぐるぐるしてる大都市。


うちの実家みたいに、1日一往復のガラクタ鉄道ではない。


ってことで、俺は朝からちょっぱやで準備を済まそうと、体を起こして………気がつく。


自らの右側にある違和感に。


俺はど田舎の実家から出て、東京で一人暮らしをするしがない学生。


天涯独り身の俺がダブルベッドなんて買うはずもなく、シングルに一人で寝転がってあぁ広いなと楽しんでいたのだけれど……。


「すぅ……ぅ………」


俺の右側にはなんと、人が寝ているではないか……!!


しかも、女。


う、嘘だろ……俺、知らぬ間に一線を越えていた……?


いや、バカがそんなはずはない。昨日の夜は今日の3時間目の英語のテスト対策に疲れて、倒れるように寝たではないか。


ということは、この女は不審者……!!?


俺が知らぬ間に入ってきて、おんなじお布団で寝るという新手の強盗犯!?


いや、アホが。うちにそんな金目の物なんてない。第一、俺と寝たって得するのは、女の人の方じゃなく俺の方じゃないか。


じゃあ、この女の人は一体誰なんだってばよ。


「すぅ……んぅ……」


俺はもうチョッパヤで準備することなんて頭の隅にもなく、規則的に寝息を立てる女の人に夢中だった。

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