―35― やるじゃないか! ご主人っ!

 隠し通路を歩いて行くと、一見なにもない開けた部屋に辿り着く。

 ゴゴゴッ、という音が鳴って振り向くと、さっき通った入り口が塞がっていく。

 どうやら閉じ込められたらしい。


『ご主人、来るぜ!』


 傀儡回くぐつまわしが叫ぶ。

 すると、地上に複数の転移陣が出現する。


「「クゴォオオオオオオオオッッッ!!」」

「ご主人、これがスキルポイントを大量に稼ぐことができる金色の無人鎧ゴールデン・リビングアーマーですぜ!」


 見ると、大量の金色の無人鎧ゴールデン・リビングアーマーで部屋が埋め尽くされる。

 ざっと数えて20体はいるだろうか。

 確か、普通の無人鎧リビングアーマーはA級難度の魔物で、過去に散々苦戦した鎧ノ大熊バグベアより少し強い魔物とされている。

 ってことを踏まえると、金色の無人鎧ゴールデン・リビングアーマーは通常の無人鎧リビングアーマーよりも強い魔物と考えるのが無難だろうか。

 金色の無人鎧ゴールデン・リビングアーマーはその手に金色に輝く片手剣を握っている。だから、慎重に戦う必要がありそうだ。


「〈黒の太刀〉」


 そう叫んで、太刀と化した傀儡回を手に握る。

 その上で、金色の無人鎧ゴールデン・リビングアーマーの集団へと飛び込む――。


 金色の無人鎧ゴールデン・リビングアーマーの斬撃を直前でかわす。


「おい、よく見て攻撃をしろよ」


 そう口にして、〈挑発〉を使う。

 すると、金色の無人鎧ゴールデン・リビングアーマーが果敢に飛びかかってくる。

 それを躱す。

 ガシャッ、と金色の無人鎧ゴールデン・リビングアーマーが別の金色の無人鎧ゴールデン・リビングアーマーに攻撃する同士討ちが発生した。


『やるじゃないか! ご主人っ!』


 傀儡回が賞賛を送る。


「こう見えて、対集団戦は自信があるんだよ」


 いつしかの多数の鎧ノ大熊バグベア相手に戦った経験がこんなところで活かせるとはな。


「おい、雑魚共。どこからでも、かかってこいや」


 多数の金色の無人鎧ゴールデン・リビングアーマー相手に、〈挑発〉を使う。


「それじゃあ、始めようか。雑魚狩りを」


 そう力んだ数十秒後、背後から刺されて死んだ。

 まぁ、一回目で成功するとは思っていなかったので、別にいいんだけどさ。





 金色の無人鎧ゴールデン・リビングアーマーに殺された俺が、死に戻りして目覚めるタイミングは鎧ノ大熊バグベア戦を終えたところに変わりなかった。

 その段階では、寄生剣傀儡回を入手していないので、再び手に入れるために行動する必要があった。


『いいよ、俺様は主人に従うぜ』


 傀儡回は毎回、素直に俺の言うことを聞いてくれたので、この点において苦労することはなかった。

 そして、まずは〈知恵の結晶〉の入っている宝箱を回収して、スキル〈剣術〉を獲得する。

 そして、スキル〈剣術〉をレベル1からレベル2にあげておく。

 魔物を3体倒せば、レベル2になるのに必要なスキルポイントが貯まるのはわかっていた。

 数時間もあれば、3体倒すことができるため、さっさとやってしまう。

 と、ここまでが隠し部屋に入るまでに終わらせておく準備だ。


『おいおい、ここに隠し通路があるの知っているなんて、ご主人随分と物知りじゃねぇか』

「まぁな」


 隠し通路を開けた途端、傀儡回くぐつまわしがそう言ったので頷く。


傀儡回くぐつまわし頼むぞ」

『おう、任せておけ』


 俺たちは金色の無人鎧ゴールデン・リビングアーマーが多数いる部屋に挑んでは、また死んだ。


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