四、
「いっ、いい、一体全体何を言っているんですか!!」
「ごめん、つい心の声が出ちゃった」
「いっ! 意味がわかりません!」
僕が素直に謝ると真紀さんは顔を真っ赤にして勢いよく顔を逸らしてしまう。
「前に……尊さんが焦らず、確実に、一歩ずつだって言っていたので小さな成功でも喜ぶことにしたんです。それはこれが自転車に乗れてるっていえないことは私だって分かっているんですけど……」
「ごめん。真紀さんなら満足しないだろうなって思って言葉に詰まってしまったんだ。僕が言ったことになのに無責任だった」
「そ、そうですよ。私には小さなことでも喜べって言っておいて無責任です。ま、まあ私もそう考えるって言ってなかったのは悪いですけど……」
真紀さんは尻すぼみに小さくなっていく声に合わせ、口をもごもごさせてしまう。
「じゃあ改めて、おめでとう。手で支えてなくても自分の力でここまで来れてすごいよ。今日まで頑張った成果だね」
僕が褒めると真紀さんはほんの少しの間驚いた表情を見せるが、すぐにぱあっと明るい顔になり、そして満面の笑みを見せる。
「うん」
少し照れた感じの、だけども純粋に嬉しい気持ちを全身からあふれさせた笑顔で頷く真紀さんを前にして、僕は顔と耳が熱くなるのを感じる。
そんな僕を見てちょっぴり笑う真紀さんの顔も赤いわけで、僕も微笑んでしまうのは必然なことだと思う。
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