四、
「そっか、そうだよね。市村さんといるのが楽しかったからつい嘘ついたけど、よくないよね。うん、ちゃんとやるよ。言ってくれてありがとう」
何度も頷いて微笑む咸峰さんを見て、私の伝えたいことを伝えられたと思いホッとする。
「そういえば咸峰さんってなんでバスケットをやるようになったんですか?」
今更ながらな質問だが初めの私と違い今の私は、咸峰さんのことがもっと知りたいという気持ちがある。
いつか尋ねようと思っていたけど、ようやく今聞くことができて、内心達成感を感じている。
「なんで? う~ん、最初は……あー、小学生のころ流行ったバスケットの漫画読んでカッコいいって思ったから……かな?」
「ミーハーですね」
「やっぱりミーハーかな。そう思う?」
照れくさそうに笑う咸峰さんを見て私も一緒に笑うと、続きを話してくれる。
「バスケットの漫画を読んで、アニメ見て、実際のバスケットの試合を見たんだ。漫画も現実もすごくカッコよくて、僕もやりたいって思ったんだ。それから今までずっとバスケットやってる。でもまあ、ヘタだけどね」
そのときを思い出したのか、懐かしそうに話し始める。
「でもちょっとは上手くなったんだ。最初はドリブルも手元を見ないと出来なかったけど、今は見なくても出来るしね。シュートもそれなりに決まるんだよ」
そう言いながら、シュートのポーズをする咸峰さんは楽しそうに見える。
バスケットが本当に好きなんだろうなぁってのが伝わってくる横顔を見て、実際にやっている姿が見てみたいそんな気持ちが芽生える。
「咸峰さんがバスケットする姿、見てみたいです」
気が付けばそう口にしていた。そんな自分に驚いてしまう。
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