第9話 神崎清華VSモンスターⅡ

 双方、微動だにせず、対峙すること数分。大きく地を蹴り、武器となる剣を振り上げ、魔物モンスターが先手攻撃。

 瞬時に発動し、神崎清華の周辺を張り巡らした結界が、振り下ろした魔物モンスターの剣を弾く。

 後方へ飛び退いた魔物モンスターめがけ、神崎清華が十字架の剣で以て、銀色の光線を飛ばす。

 結界を通り抜けて、光の速さで迫った光線を、再び大きく地を蹴り、飛び上がった魔物モンスターは回避した。

「っ……!」

 空中に佇む魔物モンスター。背後から気配を感じ、反射的に振り向く。が、そこには誰もいない。

 おかしい……人間の気配を感じたと思ったが……

 違和感を覚え、いぶか魔物モンスター。と、その時。突如として、魔物モンスターの腹や背中に激痛が走った。それはまるで、姿形が見えない、透明人間に身体を殴られたような激痛だった。

 なんだ……なにが起きてやがる?!

 猛烈な力で殴られた魔物モンスター。ふらふらになりながらも地上へ着地。四つん這いになったところで、ふと気配を感じ、顔を上げると……

 神崎清華が、剣で以て飛ばした銀色の光線が直撃。光線をもろに受けた魔物モンスターが気絶した。その隙に、魔物モンスターに急接近した神崎清華が悪魔を封じる呪文を唱える。

 神崎清華が振り下ろした剣が魔物モンスターを切り裂き、身の毛もよだつ断末魔を上げた魔物モンスターが砂状になって消えた。ポンッと軽い音を立てて一枚のトランプカードが出現したのは、その直後のことだった。

「うまく、悪魔を封じることに成功したようだな」

 再び、美果子に背を向け、安堵したようにぽつりと呟くミカエルの声が、美果子の耳に入った。

「まだ、安心するのは早いですよ」

 緊張の面持ちで、美果子は待ったをかける。

「ものすっごく、イヤな感じがします」

 そう、警告を発した美果子。思わず振り向いたミカエルが驚きとも、感心とも取れる表情をした。

「……どうやら、万一の時が、来てしまったようだ」

 凜々りりしい笑みを浮かべたミカエルは

「美果子、こちらへ。絶対に、私から離れてはいけないよ」

 自分のもとへ美果子を呼び寄せると結界を張り、万一に備えたのだった。


 結界を張って身を護りながら、神崎清華はその時を待った。不気味な静けさが当たりを満たす。そして……

 静寂を破り、一人の人間が、姿を現した。短く切りそろえられた黒髪に青い目をした長身の若い男。白いスカーフを胸元に巻いた黒服に黒マントの男から気品感が漂っていた。

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