第13話 続・その他クラスメートたちの声

「青森……さすがに、これはブタ箱行きか?」

「少年院? 鑑別所?」

「小学生に退学って、あるのかねぇ……」

「ただの自宅謹慎だよ」

「あと少しで、小学校卒業だったのに……」

「なぜ我慢できなかったんだ」

「あの人に、そんなことはできっこないよ」

「すぐカッとなるもんね~」

「いや~マジで青森、やばかった!」

「居合わせちゃった子たち、大変だったね。お疲れ様~」

「おれ、あんなすげーもん見たの生まれて初めてだな。とにかくやばかった!」

「何したの? あいつ……」

「まず先生のことを、ドカッ! って思いっきりキックしちゃってさー」

「嫌だ……」

「もう既に、野蛮人じゃねーかよ」

「その後すぐに先生は倒れちゃったんだけど、まだ青森さんは攻撃していたよ……」

「先生、かわいそう……」

「教師の場合、教え子にやり返したら体罰になっちゃうもんなぁ」

「どうか生きていて……」

「生きていてって……! 大袈裟じゃないか?」

「いや、それが大袈裟ではないんだよ」

「そうなの?」

「やっぱり、もし打ちどころが悪かったら……」「そんな……!」

「あと……あいつ、ハサミ持っていたよ」

「嘘でしょ……?」

「それで、あいつはハサミで先生の体を刺そうとしていたんだ」

「嫌っ! やめてっ!」

「最低だよな……他の先生が来て、それはストップできたけどね」

「あと緑川と黄瀬も……今は青森と同じように、先生たちと話しているんだろ?」

「そうだな。でも……あの二人は先生に対して、何もしていなかったよ」

「だけど青森の暴走を、あいつらは止めなかったんだよな?」

「うん。マジで、ただ見ているだけ……」

「うわぁ……あの三人、全員サイコかよ……」

「あいつらがサイコっていうのは、今に始まったことじゃないけどね……」

「……ねぇ……そういえば青森さんって、家族も変な人たちだって聞いたことがあるよ」

「あっ! オレ、あいつの今の親父が超やべぇの知ってる!」

「ああ、そっかぁ! あなたは青森さんの、ご近所さんだったよね?」

「そうなんだよ~。すっげぇ嫌だ……」

「青森って、母ちゃんが再婚したんだっけ」

「あ~っ! あのケバくて若い、お水の母ちゃんなっ♪︎」

「そうそう!」 

「あなたたちねぇ……ちょっと失礼なこと、言っているんじゃない?」

「君たちも言い過ぎちゃったら、あいつらと同類になってしまうよ」

「いやいや、まあまあ落ち着いてくれよ。で、その母ちゃんの再婚相手がマジで激ヤバってことなんだよ……」

「どんな風に?」

「暴力だよ、暴力。言葉遣いも、娘と同じで汚いんだ! 青森の家の前を通る度に、あいつの父ちゃんの怒鳴り声が聞こえてきてさぁ……。毎回うっせーし、おっかねーしで嫌だよオレ!」

「青森さんがオラオラし始めたのは、お母さんを守るためとか聞いたことあるわ。母子家庭になってから、おっかなくなったみたいよ」

「いやいや、だからって誰かに意地悪するのは、おかしいことだろっ!」

「お門違いだよね……。母子家庭だろうが何だろうが、人に嫌なことをして良い理由にはならないよ」

「ただの八つ当たりじゃねーか!」

「やられた人たちは、迷惑でしかないわよね!」

「あいつ本当は母ちゃんのためとかじゃなくてさぁ……自分がナメられたくないから、無駄にオラオラなんじゃねーの?」

「やっぱり、そうだよね……」

「そんなことして、自分の母ちゃんが喜ぶとでも思っているのかな」

「あーあ。ひどい勘違いだよ!」

「緑川と黄瀬も悪いよ! あれだけ狂った友達を止めなかったんだから!」

「それって、本当に友達なのかよ!」

「っつーか、あの二人は笑っていたよ。もう目がニヤニヤしていた」

「緑川さんも黄瀬さんも……先生が青森さんに、やっつけられているのを見て楽しんでいたのね」

「普段あれだけ、お世話になっているってのにねぇ……。信じらんないわ」

「先生、かわいそう過ぎるよ!」

「あいつらは鬼だよ……鬼! 人間じゃない!」

「ああっ、誰か来た!」

「えっ? 緑川さんじゃん……」

「うわ、黄瀬もいるよ!」

「あいつらは釈放されたんかい」

「まあ青森は、いねーわな」

「あいつらよりも、先生が心配よ……!」

「ぼくも。あの人らには……金輪際、関わりたくないね」

「はぁ……もう最悪、大嫌い!」

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