第5話 フレネミー、バカなふり、情報通♪︎【黄瀬】

「まっ、元気出しなよ! うち、二人の様子を見てくるわ~!」

「うん、ありがとね!」


 うちはカバちゃんから離れて、ミドカとアオさんの元へと向かうことにした。


 はあああああああああ。

 どっち側でもないの最高!

 どっちもの味方になるの気持ちいいっ!

 人間のゴチャゴチャ見るの楽し過ぎ♪︎

 さっさと素直に謝って、うち大正解だったなぁ……。

 おかげで今、こんな素晴らしいポジションをいただけているんだから♪︎

 揉め事は起こすんじゃなくて、やっぱり見るに限るよねぇ~。

 ドロドロのヒューマンドラマが、学校でタダで見られるなんて超お得……♪︎

 さてと、あの二人にカバちゃんの様子とか言っていたこととか報告しなくちゃ……ん?


「……ベイビー、マジ大丈夫?」


 あっ、コムちゃんとチャチャだ!

 そういえばカバちゃんって、あの二人とも仲が良かったんだっけ……。

 ちょっと、三人の話を聞いておこ「それで昨日の夕食がさー!」「あのね、聞いてよーっ!」「宿題の最後の問題、分かった~?」「おーい! これ見てくれ! 上手に描けたんだっ!」


 うわぁー、聞こえなくなっちゃったよー!

 朝から賑やか過ぎるんだよ、このクラスは!

 ああ、もういーや……。

 あの三人の会話を聞くのは、諦めよう。

 もし聞いているの気付かれたら、それでアウトだしね。

 これはこれで、セーフだったのかも!

 とりあえずは良い方に考えて、終わらせよう。

 あの三人が、一緒にいたってだけでナイスな情報だと思うし。

 それでは今から、お二人に報告だっ!

 はーい、レッツゴー♪︎




「おーいっ♪︎」


 廊下で楽しそうに会話している二人を見つけ、うちは手を振った。


「ミドカぁ~! アオさーんっ!」


 ミドカは「あっ、黄瀬ちゃん来たよ!」と笑顔。

 うちを歓迎してくれていているんだ。

 嬉しいなぁ。

 アオさんは「ああ……」と真剣な表情。

 もしかして何かを察した……?

 すごいっ、それってエスパーじゃん!


「ねえねえ! 大ニュース、大ニュース!」

「えーっ? 何? どうしたのー?」


 うちにミドカは興味津々。アオさんは、やっぱり険しい顔。


「あのねー♪︎」


 はあああああああああ。


「カバちゃんがね」


 こういうの情報通みたいで、本当に良い気分!


「チャチャやコムちゃんと、一緒にいるの見ちゃったんだよ~♪︎」


 さあーて……♪︎

 お二人さんの反応は、いかがだろうか……?


「ふーん……かなり怪しいよな、それ」


 意外なことに、アオさんが先にコメント。


「えー? もしかしたらアカの奴、あたしらのこと二人にチクったりしてたぁ?」


 それに続いてミドカも言葉を返してくれた。

 でも、二人共……。


「ごめんね!」

「えっ? 黄瀬ちゃん、どうしたの?」


 うちが謝ると、そんなうちをミドカが心配してくれた。アオさんは目を丸くしている。


「うち、実はね……。あまりにも教室が賑やかだったから、あの三人の会話が全く聞こえなかったの……」

「あ、そうだったんだ! いーよいーよ黄瀬ちゃん。三人が話していたってことが分かっただけでも、ありがたいから!」

「ミドカ……! ありがとうっ!」

「いやいや黄瀬ちゃん……。こちらこそ貴重な情報を、ありがとう!」


 ミドカは、うちを許してくれたどころか感謝してくれた。そして頭を優しく撫でてくれた。


 はあああああああああ。

 妹分って幸せ過ぎるっ!

 めちゃめちゃかわいがられるし♪︎

 どれだけヘマしても許されるし♪︎

 末っ子的存在バンザイ!


「とりあえず、色々と考えなきゃな。便所バエを楽にさせるわけにはいかねぇ」


 うちが心の中でハイテンションになっていると、ますますアオさんの顔が険しくなった。

 それじゃ、お二人!

 難しいことは、よろしくお願いしまーす♪︎

 うち、妹キャラなので……。

 うち、バカな(ふりをしている)ので……。

 あーもう毎日が楽し過ぎるっ!

 学校、大好き♪︎

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