第15話 サッカーチーム所属の記憶と.....エロドリーム?

「それへ、お兄ひゃん」


「.....口にポテチを詰め込んだまま喋るな。凪帆。のり塩がついてんぞ顔に」


「.....ごくん。失礼。.....うーん。で、お兄ちゃん」


「.....何だ。俺の部屋を占拠していた癖に」


俺は凪帆に呆れながら椅子に上着を置く。

それから.....改めて凪帆を見る。

とても短いスラックスの様なものを履き。


Tシャツに上着って.....。

男の部屋に居る様な服装では無い。

襲われたらどうする気だ。

思いながら見つめる。


「お兄ちゃん。温泉行くんだよね?.....私も行きたいんだけど」


「.....それはまあな。.....お前も行くのかよやっぱり」


「休んででも行くよ?.....お母さんとお父さんも渋々だけど納得したしね」


「.....有り得ない.....」


納得させるなよ。

思いながら俺は額にまた手を添えてから盛大に溜息を吐く。

まあまあ、と言いながら凪帆は俺にニコニコする。

そして漫画本を積んでから.....俺に向く。


「私はお兄ちゃんが好きだから。デートしたいって思っていたから。ちょうど良かったばい」


「.....博多弁を使うなよ。.....お前は本当にお気楽だな.....」


「受験で忙しかったけど羽根を伸ばせるでヤンスねぇ」


「.....ハァ.....」


こうして俺と凪帆と明菜と。

その3人?で旅行に行く事になる.....みたいだ。

取り敢えずあのアホにも説明してみるか。

仮にも友人で.....まあ誤解されるかもだけど。

思いつつ俺は顎に手を添えた。


「お兄ちゃん」


「.....何だ。凪帆」


「デート楽しかった?」


「.....それは.....まあ楽しかったかな」


「.....ふうん。.....じゃあ次は私の番ね」


「.....少しは休ませろ.....」


俺は溜息混じりに椅子に腰掛ける。

だが凪帆は俺を休ませるどころかベッドに寝そべってから計画を練っていた。

俺はその事に、やれやれ、と思いながら服を着替える。

そして凪帆を見ていると。


「おしっこ行きたくなっちゃった」


「.....女の子がおしっこ言うな。トイレと言え」


「.....何お兄ちゃん。.....見たいの?」


「お前は.....もうツッコミ疲れた。見るか馬鹿野郎」


「.....ふーむ。じゃあ行って来ます」


早く行っちまえ。

って言うかいつになったら帰るんだアイツは。

思いながら俺は額にまた手を添える。


それから.....机の上を見る。

そこに.....ゴミに埋もれていて気が付かなかったが。

写真立てがあった。

これも片してくれたんだな。


「.....懐かしいな。サッカーチームの奴か」


俺は考えながら写真立てを持つ。

今頃.....どうしてんだろうなコイツら。

みんな事故以来、離れ離れになっちまったけど。

思いつつ.....見ていると。

いつの間にか戻って来ていた凪帆が写真を見ていた。


「.....お兄ちゃん。それってサッカーチームの?」


「.....そうだな。.....昔の大昔のやつだ」


「これで明菜さんに出会ったんだよね?.....事故で」


「.....そうだな。.....そして俺はサッカーが出来なくなった。というか.....正確には出来るんだが辞めた」


「.....お兄ちゃんはそれで良かったの?」


「.....軸が狂うと何も出来ないんだよな。サッカーってのは。.....だからもう良いんだ。本当にキッパリ辞めるって感じだな」


「.....ふーん.....」


じゃあさ。

今度.....私の親戚の3人の子供のサッカーの相手してくれない?

とニコニコしながら言ってくる凪帆。

冗談だろ.....俺は引退してから10年も経ってんだぞ。

勘弁してくれよ。


「.....お兄ちゃんの格好良い姿.....明菜さんにも見せようよ」


「.....お前馬鹿か。10年も経ってんだぞ。.....流石にヤバいって」


「.....ヤバく無いと思うけどな.....10年でも感覚は忘れないでしょ」


「.....いやいや」


もー。お兄ちゃん。

イヤイヤ言っても仕方が無いよ?

幻滅だなぁ、と言ってくる凪帆さん。

あのな.....。

思っていると凪帆が俺の手を握ってくる。


「.....お願いしますよー」


「.....分かったよ.....そこまで言うなら相手してやるけど.....報酬は?」


「報酬欲しいの?」


「.....当たり前だろ。.....お金が欲しい」


「.....お兄ちゃん.....最低。.....でも報酬は確かに要るよね」


顎に手を添えながらそして手を叩く。

あ、と声を上げた凪帆。

何だ一体、と思いながら凪帆を見ると。


いきなりだがキスをされた。

頬に、である。

それから俺を見てくる凪帆。

これ前払いの一部ね、と言ってくる。

ケラケラしながら、だ。


「お前な.....油断も隙もない!」


「うん。お兄ちゃんが寝込んでいたら夜這いするぐらいかも」


「帰れもう!!!!!」


夜這いすな!

俺は凪帆にそう言う。

凪帆は、まあ冗談だよ、と苦笑い。

本当かよ。

流石にそれは恥ずかしいよお兄ちゃん、と言ってくる。


「.....でもね。.....お兄ちゃんのサッカーしている姿。.....私達はまた見たいんだと思う。.....だから頼んだの。.....お願い出来ないかな。お兄ちゃん」


「.....!」


「.....私は見たいよ。お兄ちゃんの強い姿」


「.....お前.....」


凪帆は真剣な顔で俺を見てくる。

待ち望んでいる様な。

そんな感じだ。


俺はその事に顎に手を添える。

それから、一回だけだからな、と告げる。

凪帆は嬉しそうにはにかむ。

そう言ってくれるって信じてた、と笑顔。


「.....私のお兄ちゃんだから」


「.....私のお兄ちゃん.....ねぇ。.....でも俺は本当に鈍っているからな。.....絶対に」


「.....うん。.....それでも勇姿を見たい」


「.....分かった。.....所で凪帆。この部屋で何していたんだ。ずっと」


「.....ふえ?.....あ.....えっと.....お兄ちゃんのえっち」


「.....は?」


お兄ちゃんのエッチ?

どう言う事やねん。

何をしていたんだコイツは.....?

思いながら見ていると。

あ。そういえば私今日だけどお兄ちゃんの家に泊まるからね、と言ってくる。

は!?


「.....それで準備はしてきたから。忘れ物があったら取りに帰れば良いしね。隣同士だしね。.....だからイチャイチャしようね。お兄ちゃん」


「.....冗談だろ.....」


顔を引き攣らせる俺。

18歳の少女が俺の家に?

俺を休ませる日は来るのか.....。


思いながら俺は盛大に溜息を吐いた。

すると凪帆が、お風呂一緒に入ろうよ。昔みたいに、と言う。

コイツな!


「入る訳無いだろ.....お前な」


「.....えー。水着着るから大丈夫だって」


「アホ!」


コイツが言うと全部がジョークに聞こえない。

成長しているし.....色々とマズイんだよ俺が!

思いつつそのまま首を振る。

ぶー。お兄ちゃんのケチ、と言ってくるが.....無視した。

全く.....。

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