第13話 貴方は私を2度救ってくれました

美術館内のファミレス。

俺達は何か天じゅうやら色々注文してから。

そのまま食事を始めた。

それからそのまま食べ終えてから.....外に出る。

晴れ晴れとした感じだった。


「.....色々な人達に出会って。.....そして色々見れました。お土産も買えましたし」


「.....そうだな」


「.....元輝さん」


「.....何だ?」


「.....10年前の事.....恨んでないんですか?私を」


それで恨んでどうにかなるのか。

と俺は答えを言う。

そして.....柔和に明菜に笑みを浮かべる。

それから溜息を吐く。

空を見上げた。


「.....俺な。.....思うんだ。サッカーの人生じゃなくて良かったって」


「.....何故?」


「.....でなければ.....お前に出会う事も無かった。.....だから嬉しいんだ」


「.....そんな.....事.....」


赤くなる明菜。

それから俺を、えへへ、と見上げてくる。

俺はその姿を捉えながら。

空を見上げるのを止めてから.....歩き出す。


明菜。次は何処に行くんだ、と言う。

すると明菜は、私.....恋人の聖地に行きたいです、と満面の笑顔を浮かべた。

嘘だろお前.....俺達付き合ってないのに。

思いながら明菜を見る。


「.....明菜。流石にそれは.....」


「えー。行きましょうよ。.....私は好きですから。貴方の事が」


「.....それは分かるが俺はまだお前を.....あ!こら引っ張るな!」


それから、良いですから!、と俺を引き摺って行く明菜。

良い加減にしろって!

俺はそんな恥ずかしい場所に行きたくない!


思いながらジタバタと抵抗するが。

じゃあ良いんですね?凪帆さんに言いつけますよ?、と言われ。

あえなく御用となった。

クソ.....汚い。


「.....でもそう言っても付き合ってくれる元輝さんが好きです」


「.....まあ.....うん。そうだな」


「.....アハハ」


それから俺たちは恋人が結ばれるという聖地にやって来た。

美術館から歩いて大凡10分ぐらいの場所に有るのだが。

この場所は有名な場所だ。

何故かと言えば.....目の前に広がる湖が何故かハート型をしている。

その為に有名なのだ。


「.....綺麗.....ほら!元輝さん見て下さい!綺麗です!!!!!」


「分かった分かったから。.....うお。確かにな」


「.....良いなぁ。.....こんな場所で.....結婚式あげたいなー」


「.....そうか」


目の前の煌びやかな湖を見ていると。

後ろから声がしてきた。

すいません。カップル限定の写真どうですか?、と。

よく見ればスーツ姿の女性とカメラが一緒だった。

俺は目を丸くしながら、いや、と断ろうとしたのだが。


「やります!!!!!」


「なっ。ちょ?!」


「元輝さん!行きますよ!」


「馬鹿野郎!俺は認めてねぇぞ!」


それから引き摺られていく俺。

またかよ、と思いながらも。

まあ仕方が無いか、と思いつつそのまま写真を撮る場所に誘導されたのでそこに向かって歩き出した。


そして看板が見えてくる。

それは.....背景が結婚式会場の様な、だ。

俺は愕然とする。


「.....わー.....良いですね!」


「この場所でお写真を撮らせて頂きます。記念になると思いますよ」


「.....いや.....流石にこれは.....」


俺は逃げようと思ったが。

お願いします、と懇願される明菜に仕方が無く。

看板の前に立った。


それから.....横に10センチぐらい身長が違う明菜が立つ。

それじゃ撮りますね、と声がしたのと同時に。

女性がこう言った。

とんでもない一言を。


「.....あ。今ならキャンペーン中でですね。キスをしてくれたらこのお写真が無料になるんです。.....もし良かったら.....」


俺達は顔を見合わせてから。

そのままボッと火が点く様に赤面した。

ど。どうします?、と言ってくる明菜。

俺は、流石にそれは断るか、と思って言おうとしたのだが。

でもな、と思ってしまう。


「.....後悔しないか?」


「.....記念になりますよね」


「.....そうだ.....けど。俺達は付き合ってないんだぞ」


「.....でも私は.....」


構いません。

的な感じで俺を見てくる明菜。

俺はその事にまた赤面する。

困った.....困る。

だが逃げ場は無さそうだな.....。

それに。


「.....ええい。こうなったらヤケだ」


俺は思いながら明菜の肩を掴む。

明菜はビクッとしながら俺を真っ赤になりながら見てくる。

それから俺は、すまないけど俺はファーストキスなんだ。上手くは出来ないぞ、と言いながら。

そのまま明菜の頬にキスをした。

明菜はビクッとしながら.....俺を目をパチパチしながら見る。


「.....元輝さん?」


「.....やっぱり駄目だ。.....根性が無い.....」


「.....ですか.....」


「.....でも良い写真は撮れたっぽいな」


明菜も俺もその方角を見る。

女性はグッドサインを出しながら笑顔を浮かべる。

そして、有難う御座いました、と頭を下げる。

それでは無料にてお作りしますね、と笑顔を浮かべる。


「.....明菜」


「.....何でしょう。元輝さん」


「すまんな。.....本当に恥ずかしがり屋で」


「.....良いんです。.....私.....嬉しかったです!」


「.....そ、そうか」


俺は赤面しながらその反応を見る。

そして女性は、暫くお待ち下さいね、と去って行った。

俺はそれを見送ってから.....もう一度だが明菜を見る。

明菜は恥ずかしいのかかなり赤面していた。


「.....は、恥ずかしいですね。やっぱり」


「.....そ、そうだな」


「.....でも.....この場所は好きな人と来たかった。夢の様です。どんな夢よりも嬉しいです。.....私」


「.....そうか」


それから明菜は笑顔を浮かべた。

紅潮しながらだったが、だ。

俺はその姿に少しだけ笑みを浮かべつつ頬を掻く。


恥ずかしいのは俺も同じだ。

思いながら女性が戻って来るのを待った。

ただただ互いに無言のまま、だ。


「元輝さん」


「.....ん?」


「.....この後行きたい場所があるんですが.....良いですか。.....そこは私が.....貴方を見つけた場所です」


「.....!.....良いけど.....」


「公園なんです。......そこで.....見つけたんです。.....貴方を。.....実は言ってなかったですが貴方にまたその場で何度も救われたんです」


「.....え?」


俺は目を丸くする。

すると.....明菜は笑みを浮かべ見てきた。

その場所に居たから.....私は高校時代に通学している貴方を見れたんです。

声を掛けようと思いましたけど.....出来なかった。

そんな根性が無かったので.....、と。

明菜は告白した。


「.....試験成績があまり良くなかった時も。.....ずっとその公園のブランコで貴方を見ていて.....励ましになったんです」


「.....声を掛ければ良かったのに.....」


「.....そうですね。アハハ」


でもそんな根性も無かったですから。

本当に、です。

と少しだけ寂しげな顔をする明菜。

それから、でも今はこうして幸せですから、と。

笑顔を浮かべた。


「時間は巻き戻せないかもですが.....良かったんです。それで」


「.....そうか.....」


「元輝さんは元輝さんらしく生きて下さい、と言う願いも込めていましたから」


「.....」


そんな言葉を発しながら。

女性が戻って来るのを待っていると。

そのまま女性が戻って来る。

そして写真を渡してきた。

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