第7話 初対面
恥ずかしながらエロ本やら荒れた部屋を見られてしまった。
俺は少しだけ思い出して赤面しながら。
そのまま会社にやって来た。
すると.....栗林が真っ先にやって来る。
それから俺をニコニコしながら見上げてきた。
「新しい書類.....出来上がりました。.....見てもらって良いですか?」
「分かった。.....有難うな。急に押し付けてしまって」
「.....大丈夫です。.....先輩の部下ですから」
そう言いながら少しだけ赤面する栗林。
俺もその姿には赤面せざるを得ない。
何故なら.....栗林には映画に誘われたという事があるから。
まるでデートみたいな話でかなり気まずい感じだ。
思いながら栗林に向く。
「取り敢えず仕事があるから。.....すまない」
「.....そ、そうですね。ご、御免なさい」
「ところで.....何でいきなり栗林は映画に俺を誘ったんだ?」
「.....わ、私.....先輩と映画観る事で勉強になると思ったんです。だ、だから.....一緒に映画を観たかったんです。それで.....誘いました!」
「.....そ、そうなんだな.....うん」
栗林は目をキラキラさせて俺を見てくる。
俺はその目に苦笑いを浮かべながらデスクの椅子に腰掛けた。
それからパソコンを起動させながら.....栗林を見る。
栗林もデスクに戻って行く。
その際に、先輩、と声がした。
「.....どうした?」
「.....む、昔の事.....覚えていますか?」
「.....何の事だ?昔?」
「.....あ。いえ。やっぱり忘れて下さい」
そして栗林は笑みを浮かべて手を振ってからそのままデスクにある椅子に腰掛けた。
俺は?を浮かべながら見送ってからそのまま目の前を見ると。
顔を気持ち悪いぐらいに歪ませた戸田が居た.....。
俺はそんな戸田に思いっ切りチョップした。
キモいんだよコイツ!
「何するんだお前ぇ!!!!!」
「そりゃテメェだろ!キモいんだよ!」
「ったく.....人が優しく見守って居りゃ.....こんな事をするしよ」
「.....あのな.....今のは見守って居るとは思えないぞ.....」
「見守っていますー!俺は大切な思いで」
「嘘吐くな!」
そんな言い争いをしていると。
ネズミ課長が、うるさいぞ!、と絶叫した。
それに対して押し黙った俺達。
それから俺は戸田に、覚えていろよお前、と苦笑する。
戸田は、何をだよ、と苦笑い。
「.....ったく。お前の様なヤツが同期で良かったぜ」
「.....そうだろ?ハハハ」
そんな会話をしながら。
俺は椅子に腰掛けてから溜息を吐いてから。
そのまま書類の確認をしようとした。
すると朝礼が始まろうとする。
「.....朝礼だな」
「.....だな」
そして俺達は駆け寄ってから。
朝礼に参加して.....そしてまた1日が始まろうと.....した時。
ネズミ課長が、お前と栗林で営業行って来て、と言ってきた。
まさかの展開だ。
こんな早く営業に行く事になるとは。
☆
「先輩と営業.....これってデートみたいですね」
「お前は何を言ってんだ。.....これは仕事だからな」
「.....そうですね。.....まあ確かに.....そうなんですけど.....」
「何でそんなに心底ガッカリしているんだ」
俺は車を運転しながらその様に話す。
栗林は俺をチラチラ見てくる。
そして笑顔を浮かべた。
でも嬉しいです。先輩と一緒っていうのが、と。
俺は、そうか、とだけ答える。
「先輩は嬉しく無いですか?私と一緒」
「.....そうだな.....まあ確かに。お前と一緒だとやりやすいからな」
「.....でしょ?アハハ」
栗林は鼻歌を歌う。
すると、あ。先輩。あれ美味しそうです。食べませんか、と言ってくる。
そこには学生達が集まっているクレープ屋があった。
俺は溜息を吐きながら、あのな、と怒る。
今は仕事中だからな、と、であるが。
「良いじゃ無いですか。先輩。.....少しだけサボっても問題無いですって」
「.....まあ良いけど.....」
仕方が無いな。
今食べないとこのまま言い続けるだろうし。
煩いと思うしな。
俺は思いながらそのまま車を寄せてから。
そのまま車から降りて.....目の前を見る。
クレープか.....久々だな。
そう思いながら歩いて行く.....と。
そこに.....凪帆が居た。
何か息抜きで居た様だったが.....。
凪帆は、あれ?お兄ちゃん?、と目を思いっきり丸くする。
すると背後から、先輩?、と声がした。
「.....?.....ちょっと。お兄ちゃん。.....誰かな?」
「先輩。.....誰ですか。この娘」
「.....あー.....えっとな.....」
まさかこんな面倒な事になってしまうとは.....。
バチバチと火花を散らしながら栗林と凪帆が睨み合う。
俺の家と凪帆の家から離れているから良いかと思ったのだが.....良く無かった。
まさかこの場所までやって来ているとは.....。
抜かってしまった。
「へー。お兄ちゃん仕事とか言いながら.....デートですかー。へー.....良いですねぇ。私は家事で忙しいってのに.....」
「学校休みなの?この娘?.....って言うかお兄ちゃんって.....へー」
「.....」
私は伊藤凪帆と言います。
お姉さんの名前は?、と満面の笑顔を浮かべながらも。
敵視な感じで栗林を見る凪帆。
私は栗林明菜って言います。.....何卒だけど宜しく、と笑顔を浮かべた栗林。
同じく黒のオーラが出ている。
俺は、客が驚いているから.....落ち着け、と言い聞かせるが。
「お兄ちゃん。浮気は駄目ってあれ程言ったよね?.....全く.....お兄ちゃんったら♡」
「.....愛されているんですね.....先輩?.....アハハ」
「あのな。ワゴン車販売とは言え.....客が居るからな。マジに落ち着け。お前ら」
だがその言葉に凪帆と栗林はジト目で俺を見てきた。
それからニコニコしてくる。
ダークな笑みで、だ。
俺は困惑する。
「.....お兄ちゃんはどっちの味方?」
「私ですよね?先輩」
いやー.....。
すまないけど誰か助けて下さい。
思いながら俺は.....とにかく営業があるから。仕事だ仕事。栗林、と言いながら冷や汗を拭いつつ栗林の腕を掴む。
それから腕を引っ張ろうとした。
だがその手を、今はそれどころじゃ無いです、と栗林が振り切って否定する。
お兄ちゃん。今はそれどころじゃ無いよ、と凪帆も、だ。
これはどうしたものかな.....。
参った.....。
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