第4話 凪帆の家族(内容改訂)
会社に向かうと栗林が早速とやって来た。
それから俺にニコッと笑みを浮かべる。
俺はその姿に少しだけドキッとしながら汗を流す。
すると栗林は、書類出来ました、と差し出してくる。
俺はその姿を見ながら、そ。そうか、と回答しながら栗林に向く。
すると栗林は笑顔になりながら俺を見てきた。
再びニコッとする。
そして、先輩。実はですね。.....今日お弁当を作って来たんです、と言う.....え?
目を丸くしながら栗林を見た。
栗林は少しだけ恥じらいながら俺を見てくる。
「えっと.....材料余ったので作りました」
「.....材料余った?.....そうなのか」
「.....そ、そうです。深い意味は無いです」
「.....そ、そうか」
俺は苦笑しながら栗林を見る。
そして乗り出していた栗林は、わ。分かったなら良いです、と腕を組む。
それから納得する様な形で、じゃあ先輩。私は戻ります、と言いながら戻って行く。
俺はその姿に、お。おう、と言いながら盛大に溜息を吐いた。
それからデスクに向かう。
「良い感じだな」
「.....うわ!?ビックリした!背後に立つな戸田!」
「.....フフフ。貴様というクソバカは殺してやろうか」
「.....?!」
そして俺は戸田に首を絞められた。
俺は、やめい!、と言いながら戸田の手を叩く。
全くコイツは.....!嫉妬するのは良いけど!
思いながら俺は暴れる。
「でも本当に良かったじゃないか」
「.....何がだ」
「弁当。.....愛の弁当だろ?」
「.....そんな訳あるか。そもそも残り物っつってたぞ」
「.....ふーん。残り物.....ねぇ」
俺は眉を顰める戸田を見ながら、違うっての、と言う。
全くな.....コイツという奴は。
思いつつ俺は、戸田。お前は夢見すぎだ、と言ってみる。
すると戸田は、そんな事は無いだろ、と言う。
「.....絶対にお前に惚れているぞあれは」
「.....何処で惚れられるんだ俺は?そんなきっかけは無いし。.....確かに何か色々と怪しいけどさ」
「.....ふーむ。多少は期待しろよ。全くお前さんは」
「だってお前.....俺の過去は知っているだろ?」
「.....確かにそうだが.....でもお前はサッカー選手だったんだからよ。.....サッカーを辞めて初恋をぶった斬られたって言うけど」
そうそう、と言いながら俺は戸田に苦笑い。
そして時計を見る。
それから戸田に向いた。
もう直ぐ朝礼だから戻ろうぜ、と促すと。
戸田は、そうだな、と言いながら笑みを浮かべた。
それから俺達はそれぞれのデスクに戻ってから.....朝礼の時間を迎える。
そして昼食どきになった。
☆
「先輩。コチラが先輩のお弁当です」
「.....うわ。.....お前残り物とか言いながら相当に拘っているじゃねーか」
「そ、そうですか?これ普通です」
「.....そうなのか?」
目の前に受け取った弁当箱。
それは.....少しだけ大きい弁当箱だ。
青色の布の包みに包まれている。
それから銀色のお弁当箱に食材が入っていた。
俺はそれを開けてみる。
そこには.....たこさんウィンナーとか.....卵焼きとかハンバーグとか。
そんなのが可愛らしく沢山詰まっていた。
俺は目を丸くする。
これは冷食か?、と驚きながら聞いたが。
いえ。これは全部私が作りました、と笑顔で答える栗林。
俺はその言葉に驚きを隠せない。
何故なら全て手作り.....ってどれだけの手間が掛かるのだろうか、と思う。
煮込みもあるし.....手間とか相当掛かっていると思う。
なのに俺の分まで.....って。
思いながら栗林に向く。
「.....一応聞くけど.....これらは本当に俺の為に作ってないよな?」
「.....無いです。.....はい」
「.....そうなのか。.....でも美味しそうだな」
「.....そ、そうですか。.....そうですか.....」
「.....何だよその反応」
「い、いえ。別に.....私.....喜んでいませんから!」
その様に言いながら俺を牽制してくる栗林。
何だよ一体、と思いながらも。
お弁当が美味しそうだったので、まあいっか、と思いながら、食べて良いか、と許可を栗林にもらう。
栗林は、良いですよ、と言ったので食べる事にした。
お箸を取り出して摘んでいく。
「あ.....そう言えば。.....今度クレープ屋さんに行きませんか」
「.....何でだよ.....それって仕事関係か?」
「仕事関係じゃ無いですよ!.....もう。.....女の子が誘っているんですから.....」
「.....まあ.....良いけど」
「本当ですか!?約束ですよ!」
言いながら笑顔を浮かべる栗林。
何だってんだ、と思いつつ食べていると。
食堂の周りを見渡し始めた栗林。
それから.....卵焼きを摘んだ。
そして俺の口元を見る。
今度は何だ、と思いながら栗林を見る。
「.....せ、先輩。アーン.....」
「.....ちょ!?.....いきなり馬鹿かお前は.....!?」
「.....良いですから!早く!」
人が来ますから!、と言ってくる栗林。
目がマジだった。
俺は苦笑しながらも.....そのまま卵焼きを食べる。
塩加減も砂糖加減も絶妙だった。
美味しい。
「.....美味しいけど恥ずかしいんだが.....」
「そうですね。.....わ、私だって出来ればしたくなかったです」
「.....何故した.....」
「そ、それは.....察して下さい.....」
「無理があるだろ!」
俺はツッコミを入れながら盛大に溜息を吐きながら。
そのまま食材を食べていく。
しかしどれもこれも美味しい、と思う。
栗林を見るとニコニコしながらお弁当を食べていた。
何がそんなに嬉しいのか。
「.....栗林。.....お前さ」
「.....何ですか!?」
「.....何で俺にこんなに構うんだ?.....俺はお前に.....いや.....でもお前にあまり何もしてないだろ」
「.....本当にそう思っていますか?」
「.....?」
先輩は.....いや。
今は言えないですね、と言いながら赤面する栗林。
俺は???を浮かべながら首を傾げる。
それから.....ご飯を食べる。
「.....私は.....先輩。.....先輩はお気に入りです。.....何時も助けてくれるから。.....だからお気に入りです」
「.....それはどういう意味だ?」
「.....とにかく頼れるって意味ですよ。深い意味は無いです」
「.....そうなのか」
「はい。.....そういう意味です」
栗林はニコッとしながらそう返事をする。
俺はその姿を見ながら首を傾げるが深追いはしなかった。
これで深追いしてもお互いに不快になるだけだろうしな、と思う。
だから.....深追いはしない。
それから弁当を突いていると.....戸田からメッセージが入ってきた。
俺は、仕事関係か、と思いながら開くが。
そこには.....俺と栗林の姿が写った写真と。
猛烈に気持ち悪い顔の戸田が.....。
「先輩?どうしました?」
「.....何でも無い。アホに付き合うと苦労する思っただけだ」
「.....?」
とにかく平らげてから後で打ちのめしに行こう。
思いながら.....俺は弁当を食べた。
それから栗林を見る。
美味しかった、と言った。
「.....先輩。.....そんなに美味しかったですか」
「.....ああ。.....久々だよ。.....誰かのお弁当なんかな」
「.....有難う御座います。そんなに褒めてもらえると嬉しいです」
栗林はニコニコしながら弁当箱を片付ける。
俺はその姿を見ながら.....少しだけ真剣な顔になる。
一人暮らしだが.....生活は成り立っているか、と聞いた。
栗林は手を止めながら、皆さん優しいので助かっています、と答える。
それから俺を見てきた。
「.....先輩の存在も勿論大きいです」
「.....そうなのか?」
「.....はい。.....当然ですよ。.....先輩居なかったら私は今.....死んでいるでしょう」
「.....そこまで言うか。無いって」
「.....いえ。それだけ重要です」
言いながら立ち上がる栗林。
それから、行きましょうか先輩、と言ってくる。
俺は少しだけ考えながら、ああ、と返事をしながら立ち上がる。
そして戻ってから戸田をぶちのめした。
全くこのアホは、と思いながら、だ。
☆
「お兄ちゃん」
「.....どうしたんだ?凪帆。まさかずっと待っていたのか?」
「待ってたよ。.....ずっと。友達が出来たので色々と買い物とかしたけど」
「.....大概の馬鹿だなお前も.....待って帰って来なかったらどうすんだ」
「.....約束したからね。.....お酒控えるって」
「.....!」
まあそうだけど。
それで早くなるとも限らない。
考えつつ街頭の下で待っていた凪帆を見る。
それから歩き出す。
家とは10メートルぐらいの場所だ。
「.....お兄ちゃん」
「.....何だ。凪帆」
「.....今日.....もし良かったら家族に会ってくれない?みんなお兄ちゃんに会いたがっているから」
「.....」
10年間空白が空いているが。
大丈夫だろうか、と思いながら少しだけ息を吐く。
その様子を察した様に、大丈夫だよ、と言ってくる凪帆。
それから凪帆は駆け出して前に立つ。
「.....お兄ちゃんはお兄ちゃんだから。優しいお兄ちゃんだから」
「.....」
「.....そんなに固くならなくて大丈夫だって」
「.....そうか」
10年前。
俺は.....凪帆に会うのも拒絶していた事もあった。
事故直後の事だ。
だから.....凪帆の家族も拒絶していた事もあったのだ。
その為に、会っても良いのか、と考えてしまうのだ。
「.....お兄ちゃん。.....拒絶なんて当たり前だよ。.....事故は事故なんだから」
「.....」
「.....そう固くならないで。だから」
「.....ああ。分かった」
そして凪帆に促される様に。
俺は凪帆の新しい家を訪問した。
それから玄関が開いて。
凪帆の母親の羽(はね)さんが出て来た。
まあまあ!、と嬉しそうに、だ。
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