Part.39『超能力』

『超能力』


 超能力とは、通常の人間にはできないことを実現できる特殊な能力のこと。今日の科学では、合理的に説明できない超自然な能力を指すための名称。神通力、等とも呼ばれる。

 また近年、「人の寿命を言い当てる」、「人の過去や心を読み取る」といった新種の超能力の存在が報告されている。情報の伝達に関する現象である、超感覚的知覚 (ESP) や、物体に直接力を及ぼし得るサイコキネシス (念力、PK)等とは根本から異なるとされる上記の超能力だが、実際の報告例の少なさ、超能力の存在そのものに対して異論があること等から、信憑性については疑問符がつき纏う。

 こうした新種の超能力の中でも、特に「過去を読み取る」という能力の有用性は、諜報活動における優位性を例にあげるまでもなく貴重なもので、多額の金銭により能力者が売り買いされた例も実在する。

 だが一方で、能力を持っていないにもかかわらず、あたかも能力があるかのように振る舞うことで、言葉巧みに金品を詐取する者もおり、事件化した例も存在する。


* * *


 結論から言うと、寿命が見える能力に関する情報は、インターネット上に存在していた。

 他人の寿命が見えるということと、他人の人生が見れるということは同義なのかも、と和也さんは語ったが、確かにそうかも、と私も思う。同時に、どっちがこの能力のメインなのかわからないな、とも。

 寿命が見える能力者として知見された人数は極めて少なく、能力が失われる条件についての記述はなかった。それだけに、和也さんが自分の能力を用いて検証を重ね、情報を必死に集めであろうことがうかがえる。目標達成に向け真摯に取り組む姿勢にだけは、頭が下がる思いだった。

 彼の動機が、たとえどんなに不純だったとしても。

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