第11話 愛しい人
朝目が覚めると、隣に愛しい人がいる。
こんな幸せな朝を迎えるのは初めてだ。
寝顔も可愛いかったので見ていると、ごそごそと動き始めた。
俺のいたずら心が働いて、急いで寝たふりをする。
起きた気配がするものの、一向に動く気配がない。
何をするのかと楽しみにしていたが、何もないので薄目で様子を見ていると、ただ俺をぼーっと見ているだけだ。
俺と一緒で幸せな時間を感じているのかと思うと胸がくすぐったくなった。
俺は目を開けて「いつまで見てるんだ。」と言いながら微笑んだ。
山本はいきなり俺に抱きついてきたが、何かを思い出したかのよう体を放し鞄の中を探している。
探していたのはスマホのようだった。
スクロールしている手が止まり、嬉しそうな顔で俺を見て
「課長、順と美幸が無事カップルになったって報告がきてます。」と報告してくれる。
改めて昨日のことを思い出してしまい、恥ずかしくなる。
「ってか、俺勘違いしてかなりかっこ悪いよな。本当に恥ずかしい」
ごまかすように、俺は前から気になっていたことを山本に問いかけてみた。
「それはさておき、唯はいつまで俺のことを課長と呼ぶんだ。高岡のことは順、順と呼ぶくせに、俺の名前知ってるよな。」
山本は名前を呼ばれたことに驚いているようだ。
「私は課長の名前なんて知らないから、呼べません。」
「課長のことがずっと好きでした。ファスナー事件で出会った、その日から」
そう言うと俺に、抱きつきキスをしてきた。
あまりの幸せに俺も応える。
キスをしながら、偶然に出会った二人が再会して、まさかこんなことになるなて想像できなかったが、幸せってこういうことなんだなっと考えていた。
あの日ファスナーが開いていたことを、勇気を出して話しかけてよかった。
コーヒーと課長とわたし~課長サイド~ KEI @kei8787
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