29 壊れゆく
週末婚から、事実婚の田舎婚
そこからの電話婚
今日の出勤も終われば、久美子さんとは、会わず帰る
本当に前に戻った感じだ
会社に行っても、何か面白くない
久しぶりに同僚の河本の顔を見た
数ヶ月ぶりか
リモートワークが導入されて数ヶ月合わない同僚もいる
年齢のせいか、少し会わないとお互い「老けたな」が合言葉のようになる
「律子ちゃんに会ったよ」河本の言葉に驚く
律子と出会った飲み会は、河本が開いたもので
後押ししたのも河本だった
「お前のこと聞いてたぞ」「また、よりを戻すか」
河本も律子とのことを知っている一人だから
今の僕の状態からすると、いろいろ複雑だった
「あの子、今、映画関係の部署だって」
僕と付き合ってた頃は、少年誌の部署で働いていた
いまは、映画雑誌の部署に
驚いた
もしかして、久美子さんを追って家まで来たのか
心底、ざわついた
「俊介どうした」
「大丈夫だって」「別に慰謝料払えって来たわけじゃないから」
河本から見ると、僕の顔は、青ざめたように見えたのだろう
その日のミーティングの内容は、覚えていない
ずっと律子のことを考えていた
「律子の来訪」
「久美子さんの張り込み」
「家の前にとまる昼寝の営業車」
これは、同時期に始まり
律子は、映画雑誌の担当に
久美子さんは、いま、映画界では、話題がある
直感的につながっているように思った
すぐに松崎さんに知らせないと
松崎さんに電話を入れると
「そう」「俊介さんの仕事から予想は、してなくは、なかった」
でも、「いまは、危険ね」
「迂闊だったは、」そう言うと、「1ヶ月気をつけて」と言い電話を切った
その日の帰りは、後ろに気をつけ、空港では、尾行されていないか
気になった
家のつくと
周りには、不審車もなく安心した
僕には、松崎さんの
「1ヶ月は、気をつけて」の言葉の意味がその時は、わからなかった
だけど自宅に帰るとその意味がわかった
久美子 @linekumiko
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