28 何かが変わる
久しぶりに実家に帰り
母といつもより話をした
母親に「事実婚状態」であることは、
今も黙っている
そのことに前は、何も思わなかったが
いまは、それが親不孝だと感じる
何か変わったからだろうか
仕事から帰ると
松崎さんから連絡があった
松崎さんの声は、少しうわずり
話す前から、喜びを感じさせ
僕に早口で話した
「映画賞を取ったの」
「本当嬉しい」「それでね」
「久美子ちゃんのね、次回作が決定したの」
僕にとっても久しぶりの嬉しい出来事だった
僕は、久美子さんの活躍に喜んだ
「俊介君、それでね、、」
「久美子は、大事な時期なの」
「あなた達は、まだ、正式では、ないものの」
「夫婦よ、、、、」
松崎さんの話は、続いた
「いまは、女優、俳優、映画、」
「この話題だけにしたいの」
「それ以外の話題が出た場合は、次回作は、なくなるかもしれない」
「久美子ちゃんも私も、今が勝負どきなの」
「久美子ちゃんとの夢なの、、、、、」
僕も、「はい」そう答えるしか無かった
その夜、久美子さんとも話し合い
しばらくの間
離れて暮らすことになった
久美子さんは、申し訳なさそうだったけど、
なぜか寂しさは、感じなかった
僕は、また家に戻る事にした
一人で帰る飛行機
家に帰ると、夕日に照らされる部屋は、
とても寒く、静かで
カーテンを開けると
見える景色は、いつも通り
これだけは、何も変わっていなかった
少し眠ろうと、横になると
久美子さんからの電話がなった
「俊介君」
久美子さんは、こっちの様子を聞き
いつものように今日の出来事を
話してくれた
僕は、そんな久美子さんの話を聞き
すぐに眠った
久美子さんと出会った頃のような毎日
2週間が経った
毎日の電話は、久美子さんの仕事終わりに
かかってくる
たまに夜中だったりすると
「大変だね」
そんな思いやる言葉も出なくなっていた、、、
あの日から、少し変わり始めたんだ
その日の久美子さんからの電話の第一声は、
「ごめんね」だった
旬がアメリカに帰る前に
子供達と会いたいと
松崎さんが連れて行くから
「いいかな」その問いに
「いいよ」と答えれば良かったのに
「それを聞かれても、、、、」
「旬」と言う名前に反応し
そう返してしまった
「そうだね」「ごめん」
久美子さんのその言葉に
胸が痛かった
次の日
久美子さんは、何も無かったかのように
いつも通り電話をかけてきた
僕は、謝ろうと思っていたが
何か蒸し返しそうで
謝るのをやめた
何も無かったかのような毎日
久美子さんから、子供達が
旬に会いに行ったという話を聞いた
僕は、「子供達は、喜んだ」
そう聞くと久美子さんは、
千尋と香奈に電話を代わった
千尋と香奈は、旬からプレゼントをもらい
嬉しそうに話した
その日も久美子さんは、最後に「ごめんね」と
言って電話を切った、、、、
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